2011年5月29日日曜日

Bin Laden in Abbottabad

オサマ・ビン・ラディン殺害作戦で、CIAは2010年9月までにビン・ラディンがパキスタン北西部のAbbottabadに家族と潜伏している可能性があると確証を得ていました。米欧各紙が報じているところです。

http://www.guardian.co.uk/world/2011/may/02/how-osama-bin-laden-found

2010年10月には、それを裏付けるような形で(後知恵ですが)、「ビン・ラディンはパキスタン北西部の家屋で快適に暮らしている」というNATO関係者からの情報をCNNが報じていました。

http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2767505/6342724

CNNは作戦成功の一報を特ダネとして報じていますから、素直に考えれば、オバマ政権内や軍、情報機関幹部に良い情報源が複数いるのでしょう。情報を得て、短時間で複数の情報源から裏付けをとり、更に取材を深めなければなりませんから。

NATOの軍事力やintelligence能力について、現実には米軍に頼り切りであると、Syracuse UniversityのRenee De Nevers助教授が明らかにしています。

"NATO's Internatinal Security Role in the Terrorist Era." 2007. International Security, 31(4)

De Nevers助教授は「NATO軍はその能力を高める努力をする一方、平和構築・維持活動に従事するのも新しい貢献の形だ」と指摘しています。いずれにせよ、ビンラディン潜伏情報は当時、CIAと米軍内で共有され、CNNが接触したNATO所属の米軍関係者にも伝わっていたのかもしれません。

逆に穿った見方をすれば、9/11の主謀者殺害を全世界にセンセーショナルに伝えるには、米国メディアの中でもCNNが最適だという狙いから、CNNにリークされたことも考えられます。

しかし、米国はビン・ラディン殺害に成功したことで、イスラム過激派や普通のイスラム教徒の対米感情悪化を避けたいはずですから、センセーショナリズムの仮説は妥当でないでしょう。実際、オバマ政権と軍の特殊チームは、イスラム教の教えにある程度則って、死亡から24時間以内に遺体を、海中ですが葬っています。

"Islamophobia", "Islamofascism"という言葉を生み出した前政権なら、大々的にアピールしたかもしれませんが、その点ではオバマ政権は慎重にしているように見えます。

以下のリンクは、作戦決定までの安全保障チーム、特に軍とCIAの協力に焦点を当てた記事です。記事には両社の協力が「(冷戦終結、ソ連崩壊後の)1990年代から活発になった」とありますが、両者は9/11直後のアフガニスタン侵攻でも密接に協力して作戦にあたってます。オペレーション現場でのやりとりを記した本を大学院で読んだのですが、肝心の書名を失念しました。探さねば。

http://jp.wsj.com/World/node_241215

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