ロシアへの亡命が認められたスノーデン氏が改めて浮かび上がらせた情報収集とプライバシーの問題。先日、読売新聞で下記のような短い記事を見つけました。
「【ワシントン=山口香子】米下院本会議は24日、国家安全保障局(NSA)による電話の通話記録の入手ができないようにする内容の改正法案を反対217、賛成205で否決した。オバマ政権や民主、共和両党指導部がどう法案への反対姿勢を明確にしていたにもかかわらず、賛成票が想定以上に集まり、「想像をはるかに超える僅差」(米紙ニューヨーク・タイムズ)での否決となった。与野党を問わず、議員の間で情報監視への懸念が広まっていることが示された。」(以下、略。読売新聞、2013年7月25日)
この法案で対象となっていたのは、米国愛国者法215条とみられます。"Access to Records and Other Items Under the Foreign Intelligence Surveillance Act."という見出しが付けられた条文で、裁判所の命令があれば、"any tangible things"(あらゆる実体のある、具体的なもの。非常に抽象的な表現で、上手く訳せないのが悔しいです。)を収集することができると定めています。
読売が報じたように、提出された法案に対する米下院議員の賛否の判断はほぼ真っ二つに割れました。否決後、AP通信やワシントン・ポストは、下院議員の賛否に関する意見を伝えています。
翻って、安倍政権がインテリジェンス能力を強化しようとしている日本において、情報収集能力を強化するとはどういうことなのか、どのようなメリット・デメリット、ベネフィット・リスクがあるのか、という議論が盛り上がらないのは非常に残念と言わざるをえません。対岸の火事ではないはずです。
米国留学時に受け入れ先研究所の所長から、「愛国者法と国土安全保障政策について学ぶなら、この本が良い」と紹介されたのが、
David Cole & Jules Lobel, "Less Safe Less Free" 2007. The New Press, New York
David Cole先生は当時、ジョージタウン大学ロー・スクールで教えていたこともあり、都心部にあるキャンパス"ロー・センター”へお話を聞きにいきました。そしてご本人から、テロ対策の強化と基本的人権に関する著書としてご紹介頂いたのが、
David Cole, "Enemy Aliens" 2003. The New Press, New York
今回の問題を機に、これら2冊を久しぶりにじっくり読もうと書棚から出してきたのですが、なかなか読めていません。
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