先日、アメリカ大使公邸で開かれたパーティーに出席しました。同大使公邸にお邪魔させて頂くのは、2007年夏にフルブライト奨学金客員研究生として渡米する直前のレセプション以来。後に私の人生を大きく変える一年の始まりを告げてくれた場所だっただけに、当時の自分が抱いていた希望に満ちた意気込みを思い出しながら、楽しいひと時を過ごしてきました。
フルブライト研究後に帰国し、新聞記者生活に戻ったのですが、インテリジェンス、テロリズム、テロ対策、国際犯罪、汚職、マネーロンダリング…といったトピックを追い続けることに未練が残り、復職後約2年で意を決して退職しました。かつては新聞記者を天職だと思っていましたし、記者としてこれらの分野を追っても良かったのではないかと言われるかもしれません。
しかし当時も今も日本の報道を見る限り、"何か起きた時に"に報じる傾向は変わっていないようです。言い換えれば、インテリジェンス、テロリズム、テロ対策、国際犯罪、汚職、マネーロンダリングに限らず、特定の分野やトピックを執拗に追いかける専門記者による記事は、日本の報道機関にまだまだ少ないのが現実ではないでしょうか。もちろん、卓越した取材・執筆活動をされている記者はたくさんいらっしゃると思いますが、多数派ではないでしょう。
「それなら将来、自分がその専門家、第一人者になろう」というのが、新聞記者退職の動機でした。退職後はフルブライター仲間の縁を伝って欧州へ渡り、大学院で国際安全保障と紛争学の修士課程に学び、修了しました。本ブログは二度目の留学中に始め、修士課程を終えて留学先を離れたところで終わっていました。帰国後、縁あって転職することとなり、時には機微な情報を扱うことがあるため、ブログは開店休業状態にしていたのです。
しかし、ありがたいことに、冒頭に紹介した米大使公邸でのパーティーでは、ある方が「もうブログはやめたのですか」と聞いて下さったのです。自分としては2度の留学の記録程度に思っていたのですが、その方の何気ない問いかけに、学問とビジネスにまたがる私の心の間隙を鋭く突かれたような感覚に襲われました。
日本の新聞、テレビのような"発生報道主義"と揶揄されるかもしれません。ですが、最近もインテリジェンスと安全保障、国際犯罪、マネーロンダリング、情報漏洩、人材流出と産業スパイといった興味をそそられるニュースに接することが多々あります。元記者の目からは、業界に在職していた頃より、そういった分野のニュースの扱いが良くなっているように見えます。それだけ、記者・編集者側の伝えたいという意識が高くなっている同時に、現実にそうした事案が発生しており、読者にも関心を持って読まれるだろうと判断している現れと推測します。
業務に関わる話は守秘義務上、公開できませんし、するつもりもありませんが、これまでと現在の経験から見た世の中の動きに関する考察を、時には学術的アプローチも試みながら綴っていきたいと考えていますので、改めまして宜しくお願い申し上げます。
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