2010年12月18日土曜日

Rogue state and denuclearization

年内最後のエッセイを今週提出しました。問題は「国際社会は、ならず者国家(Rogue state)をいかに対処するか」。東アジア情勢が緊迫している時期だけに、北朝鮮を例に書きました。2005年に発覚したバンコ・デルタ・アジア事件と米国愛国者法311条、「拡散に対する安全保障構想(Proliferation Security Initiative : PSI)」をケーススタディとして、「中国を含む各国はマネーロンダリングと、核関連物質の輸送を犯罪化すべきで、犯罪が発覚したら、外交交渉とは切り離して強制的な制裁を加える」という、少し強硬的な政策提言としました。

参考図書・論文の中に、やはりアメリカでお世話になった先生の著作がありましたので紹介します。
  • Byman, D. and Waxman, M. 2002. The dynamics of coercion: American foreign policy and the limits of military might. New York: Cambridge University Press.
  • Byman, D. and Lind, J. 2010. Pyongyong’s survival strategy tools of authoritarian control in North Korea. International Security, 35(1). pp. 44-74.
Daniel Byman教授はGeorgetown, the Center for Peace and Security Studiesのディレクターで、フルブライト留学でホストになって頂いた先生です。中東とテロの専門家なのですが、特に2本目に挙げた論文では中東各国の事例を基に、北朝鮮・金体制の分析を試みていて納得させられる内容でした。論文を見つけた時は「中東の専門家がどうして北朝鮮を?」と訝しんだのですが、いざ読んでみると、分析力のある頭のいい学者とはこういう人のことを指すのか、と思います。

Daniel Byman
http://explore.georgetown.edu/people/dlb32/

今回のエッセイでは、学部の母校青山学院大学国際政治経済学部の先生方がまとめた論文集からも引用させてもらいました。学部生当時、国際政治学の授業で教えていた土山實男先生らが編集し、国連大学出版から出されている本の中から、青井千由紀准教授が執筆したPSIに関する論文を参考にしました。
  • Aoi, C. 2008. The proliferation Security Initiative from an institutional perspective: An “outside-in” institution? IN: Timmermann, M. and Tsuchiyama, J. (eds) Institutionalizing northeast Asia: Regional steps towards global governance. Tokyo: United Nations University Press, pp. 185-203.
土山實男先生
http://www.sipeb.aoyama.ac.jp/ja/contents/instructor/j_tsuchiyama.html
青井千由紀先生
http://www.sipeb.aoyama.ac.jp/ja/contents/instructor/c_aoi.html

それにしても、日本から遥か西の彼方にあるアイルランドの大学図書館で、母校の先生の名前が入った著作を見つけるとは、感慨深いものがあります。土山、青井両先生は、George Washington, Maryland, MIT, Columbiaで修士号、博士号をとっています。安全保障学はやはりアメリカの大学が大きな主流であると分かります。

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