2010年12月19日日曜日

Fulbright Research Network

以前の投稿で紹介したTraCCCのLouise Shelley教授に近況報告のメールを送ったら、先日、励ましの言葉とともに返事が届きました。「多忙な時期だから」と短く書かれたメールの中には、バルカン諸国を対象にテロ対策を研究する上で、貴重な助言・ヒントも添えられていました。加えて、Shelley教授経由で取材した、AML/CFT専門の弁護士も筆者を覚えていて下さり、挨拶のメールにブラックベリーから即座に返信してくれました。嬉しさと同時に励まされる思いです。

修士論文では、大学院のある教授から「北アイルランドと旧ユーゴスラビアのAML/CFT比較には無理がある」と指摘されました。北アイルランドとスペインの国内テロ対策か、バルカン諸国、例えばクロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビアの3か国のテロ対策比較のどちらかを選んではどうかと提案され、迷っているところです。せっかくアイルランドで学んでいる身ですが、何度か訪れて馴染みのあるバルカン比較に決めようかと考えています。ボスニアの情勢は今も不安定な面があり、研究を進めるにあたって、ニュース性を追求できる可能性もありそうだからです。

以下は、2005-2008年のFulbright Scholarでバルカン出身の政治学者。
  • Andelic, Neven: University of Sarajevo
  • Pavlovic, Dusan: University of Belgrade
  • Tahiri, Edita: University of Pristina
Tahiri氏は現在、コソボ共和国の国会議員のようです。
http://www.assembly-kosova.org/?cid=2,102,525

こちらはTraCCCで旧ユーゴスラビアの政治と地下経済を研究していた米国の官僚Christopher A. Corpora氏の論文。研究提案で引用させてもらいました。
http://www.cla.wayne.edu/polisci/dubrovnik/readings/corpora.pdf

余談ですが、ワシントンDC留学時に同年代のフルブライターとして仲良しだったアルゼンチン人の研究者が、2011年3月からドイツ・デュッセルドルフにある大学院の博士課程で学ぶことになり、近いうちの再会を約束しました。国籍も専門も違っても、こうしてつながりを維持できるFulbright Networkの強さには感謝しなければなりません。

Suicide bomber / Information Sharing

ゲストスピーカーによる講義のメモ。

15日: Dr. Mia Bloom, Pennsylvania State University
http://www.icst.psu.edu/Personnel.shtml
  • 1980年代にLebanon, Kuait, Sri Lankaの三か所でしか行われなかった自爆テロは、1990年代から一気に拡大し、2009年までに22か国で48グループが実施している。
  • 北アイルランド紛争では、キリスト教カトリックが、教義から自爆テロの手法を許さなかった。
  • 2004年中に163件だった自爆テロは、2005年は約350件に倍増、2008年には700件に上った。急激な伸びの背景には、アメリカ軍が進攻したイラクの他、パキスタン、ウズベキスタン、タジキスタンでの発生増加がある。
  • 現代のタリバンは旧世代とは違い、"PC friendly"で、インターネットを通じて自爆テロ志願者を集めている。
  • 自爆テロリストには女性も加わっている。イラクのSamira Ahmed Jassim(女性)は、約80人の若い女性のレイプを手引きした上、彼女たちをイスラム教スンニ派地域で自爆テロへ導いた。
  • 女性の自爆テロリストは敵の目を欺きやすいという利点がある。インドのラジブ・ガンジー首相他17人を殺害したスリランカの"Dhanu"は有名。抱えた爆弾を隠し、妊婦を装う手口もしばしば使われる。女性はヘジャブやブルカで全身を覆うため、見つかりにくい。
  • Hanadi Jaradatは法律学士を持ち、生活に困らない身分だったにもかかわらず、自爆テロを行った女性テロリストもいる。
  • その他の利点は、プロパガンダ効果が高いことと、男性への触発になること。花嫁姿に偽装した男性自爆テロリストが逮捕されたほどだ。
  • 子供に洗脳教育もされている。"Suicide bomber, Mickey Mouse Terrorist", アニメキャラクターなどメディアを通じてテロへと誘う手法。
  • ウズベキスタン、パレスティナ、インド、ソマリア、イラクで特にアルカイダ系のテロ組織が女性の自爆テロリストを使っている。特にチェチェンのテロ組織が女性に自爆テロへのドアを開けたとみられる。
  • 女性の自爆テロリスト対策として、US Transportation Security Administration (TSA,運輸保安庁)はボディチェックのために大量の女性職員を採用、配置する対策をとっている。
  • スリランカのLTTE(タミル・イーラムの虎)をはじめ、多くのテロ組織と接触して分かったことは、テロリスト達も外部の人間、研究者と話したがっているということ。いかにシンパシーを持っていると思ってもらうか。逆に報道の人間に対しては、テロのために利用することを第一に考えている。
  • 各地にアルカイダ系組織が存在するが、フィリピンの組織はイデオロギーに基づくテロ遂行よりも、金儲けのための組織犯罪集団と化している。
  • パレスティナのある家庭では、兄が有名なテロリスト、弟が米・コロンビア大学で博士号を取るという極めて対照的な人生を歩んだ兄弟もいた。
17日: Mr. Michael Lynch
Garda Detective Sergeant, Domestic Violence & Sexual Assault Investigation Unit
Interpol Specialist Group on Crimes against Children
※"Garda"とはアイルランド国家警察のこと
  • Interpolでの多国間情報共有には実際、時間がかかる。官僚機構のためで、time consumingだ。
  • 他国警察のintelligenceはmutual legal assistanceという制度の下、自国で逮捕状を請求するときにのみ、利用できる。一般的には6か月から12カ月後に捜査情報がフィードバックされる。
  • Interpol Child Sexual Exploitation Database (ICSE)。 児童ポルノ、児童虐待の被害者・加害者は偽名でネット上などに表れる。そのため、多国間の捜査協力では写真による照合と特定が不可欠だ。
  • Age of Consent (結婚・性交渉の承諾年齢)は欧州各国でバラバラ。スペインでは13歳、ドイツでは14歳、アイルランドでは17歳、アメリカでは18歳未満が違法行為とされる。
  • 現在は東ヨーロッパの旧共産圏で、児童ポルノの犯罪行為が多い。
  • Gardaは世界各国のアイルランド大使館にLiaisonを送っている。Interpolのあるフランス・リヨンのビルには、Europolも所在している。
  • 英国とアイルランド共和国間のInformation Sharing Agreementにより、Northern Ireland Police ServiceとGarda間の情報共有は円滑だ。

2010年12月18日土曜日

Rogue state and denuclearization

年内最後のエッセイを今週提出しました。問題は「国際社会は、ならず者国家(Rogue state)をいかに対処するか」。東アジア情勢が緊迫している時期だけに、北朝鮮を例に書きました。2005年に発覚したバンコ・デルタ・アジア事件と米国愛国者法311条、「拡散に対する安全保障構想(Proliferation Security Initiative : PSI)」をケーススタディとして、「中国を含む各国はマネーロンダリングと、核関連物質の輸送を犯罪化すべきで、犯罪が発覚したら、外交交渉とは切り離して強制的な制裁を加える」という、少し強硬的な政策提言としました。

参考図書・論文の中に、やはりアメリカでお世話になった先生の著作がありましたので紹介します。
  • Byman, D. and Waxman, M. 2002. The dynamics of coercion: American foreign policy and the limits of military might. New York: Cambridge University Press.
  • Byman, D. and Lind, J. 2010. Pyongyong’s survival strategy tools of authoritarian control in North Korea. International Security, 35(1). pp. 44-74.
Daniel Byman教授はGeorgetown, the Center for Peace and Security Studiesのディレクターで、フルブライト留学でホストになって頂いた先生です。中東とテロの専門家なのですが、特に2本目に挙げた論文では中東各国の事例を基に、北朝鮮・金体制の分析を試みていて納得させられる内容でした。論文を見つけた時は「中東の専門家がどうして北朝鮮を?」と訝しんだのですが、いざ読んでみると、分析力のある頭のいい学者とはこういう人のことを指すのか、と思います。

Daniel Byman
http://explore.georgetown.edu/people/dlb32/

今回のエッセイでは、学部の母校青山学院大学国際政治経済学部の先生方がまとめた論文集からも引用させてもらいました。学部生当時、国際政治学の授業で教えていた土山實男先生らが編集し、国連大学出版から出されている本の中から、青井千由紀准教授が執筆したPSIに関する論文を参考にしました。
  • Aoi, C. 2008. The proliferation Security Initiative from an institutional perspective: An “outside-in” institution? IN: Timmermann, M. and Tsuchiyama, J. (eds) Institutionalizing northeast Asia: Regional steps towards global governance. Tokyo: United Nations University Press, pp. 185-203.
土山實男先生
http://www.sipeb.aoyama.ac.jp/ja/contents/instructor/j_tsuchiyama.html
青井千由紀先生
http://www.sipeb.aoyama.ac.jp/ja/contents/instructor/c_aoi.html

それにしても、日本から遥か西の彼方にあるアイルランドの大学図書館で、母校の先生の名前が入った著作を見つけるとは、感慨深いものがあります。土山、青井両先生は、George Washington, Maryland, MIT, Columbiaで修士号、博士号をとっています。安全保障学はやはりアメリカの大学が大きな主流であると分かります。

2010年12月4日土曜日

Ireland & UN Peacekeeping mission

アイルランドは国連PKO活動にかなり以前から積極参加しています。国防軍や外務省のホームページによると、PKO初期の1958年から派兵しており、現在もレバノン、アフガニスタン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、チャドなどで活動しています。学科長のJohn Doyle博士によると、派兵数は全軍人の約10%で、国際的にみて高い割合だそうです。

一方、国家警察も1989年から各地に派遣され、平和構築"Peace Building"などの活動に加わっています。アイルランドとしては計46ミッションに派遣され、これまでに隊員85人の犠牲者を出していますが、大学院の講義やコメント、ゲストスピーチなどを聞いていると、中立政策に基づくPKO積極参加がアイルランドの誇りでありアイデンティティーであると分かります。

http://www.dfa.ie/home/index.aspx?id=81379
http://www.military.ie/overseas/index.htm

日本ではPKO大国として紹介されるカナダでは、国連外交やPeacekeeping, Peace Enforcement & Buildingの研究が盛んなようですが、Dublin City Universityにも講義は揃っています。列挙すると、
  • Resolving and Managing Conflict
  • International Law and the use of Force
  • International Law and Development
  • Principles of Public International Law
  • International Human Rights Law
  • Peace-keeping and Peace-Making Interventions
  • Politics of the UN
などなど。日本の大学生で国連や国際機関への就職を目指す学生は、アイルランドも留学先に考えていいと思います。周囲の友達で、修了後は国連機関への就職を希望している人は国籍を問わず結構います。私もJunior Professional Officerに応募できるくらい若ければ(32歳以下で修士号と社会経験が必須)、違った道を目指していたかもしれません。

Rogue Connection

修士論文と、今月15日が提出締め切りになっているInternational Securityのエッセイのために文献を乱読していたら、旧ユーゴスラビアや北朝鮮、北アイルランドに絡む興味深いつながりを発見しました。少し前の話で今更の感がありますが、それでもこれから勉強する身にとっては大ニュースです。

一つはセルビア本国とボスニア・ヘルツェゴビナのセルビア人地域スプルスカ共和国が、イラクのサダム・フセインに武器を供与していたという、International Crisis Group (ICG)のレポート。

http://www.crisisgroup.org/en/regions/europe/balkans/serbia/136-arming-saddam-the-yugoslav-connection.aspx
(PDFファイルの詳細レポートもあり)

もう一つは、北アイルランドのIRA関係者が北朝鮮製の偽米ドル札「スーパーノート」を英国や東欧で流通させていたというIrish Timesと、The Suday Independentの詳報。

http://www.irishtimes.com/newspaper/features/2005/1017/1127148503174.html
http://www.independent.ie/national-news/us-pursues-sick-old-republican-in-counterfeit-scam-1622972.html

今後、研究と勉強を続けていく中で、学術的にもニュース性のある発見を自分自身でできればと思います。余談ですが、ICGのPDFファイルに出ているのですが、ボードメンバーの中に、朝日新聞主筆の船橋洋一氏が日本人として唯一含まれていたことにも驚きました。

北朝鮮関連で加えると、米国のSylacuse Universityが2011年春に、北朝鮮・平壌のKim Chaek Universityと若手研究者の交換交流を始めるようです。両大学は2001年に図書館情報プログラムとソフトウェアに関して提携しました。 US Congressional Reseach Serviceのレポートが明らかにしています。

http://www.fas.org/sgp/crs/nuke/R41259.pdf

CRSレポートはかなり広範囲の分野について随時まとめているので、米国の国益のための視点とはいえ、フルブライト留学時代から非常に重宝しています。リンクをお気に入りに加えておきました。

2010年12月2日木曜日

European Union's Homeland Security Challenge

11月末に修士論文研究テーマのプレゼンテーションを終えました。表題の通りEU圏内安全保障政策についてで、米国留学時から続けているマネーロンダリング・テロ資金供与対策(Anti-Money Laundering/Countering Financing of Terrorism, AML/CFT)に焦点を当てて比較分析します。比較対象は北アイルランドとバルカン半島国、おそらくボスニア・ヘルツェゴビナになろうかと思いますが、そこは近く指導教官に相談して決めたいと思っています。

1990年頃から現在まで、世界のAML/CFTはG-7を中心とする政府間組織Financial Action Task Force (FATF)を中心に発展、各国に対策を促してきました。

http://www.fatf-gafi.org/pages/0,3417,en_32250379_32235720_1_1_1_1_1,00.html

FATF加盟国・地域は現在36で、日本と英国は1990年から、アイルランドは1991年からメンバーです。当初は麻薬取引などによる犯罪収益対策が中心でしたが、2001年の米国同時多発テロ以降、テロリスト資金供与対策にも対象を拡大させ発展。加盟国・地域に求める対策は"Recommendation 40 + 9"という勧告にまとめられています。

他方、FATF加盟国以外の地域にもAMF/CFT対策を施すために、地域組織が各国により設立されています。それらをまとめて、FATF-Style Regional Bodies (FSRBs)と呼んだりするのですが、その一つに欧州評議会によるMONEYVALというのがあります。

http://www.coe.int/t/dghl/monitoring/moneyval/

ボスニア・ヘルツェゴビナやセルビアなどバルカン諸国はMONEYVALの加盟国で、欧州評議会によりFATF Recommendation 40+9の履行状況をチェックされています。

所属組織だけでなく歴史的、社会的背景は全く異なるものの、同じ国際ルールに則ってAML/CFT対策を進める南北アイルランドとバルカン諸国。この二地域を比較分析しようというのです。現段階では両者がAML/CFT対策を始めた年から現在までにおけるマネロン犯罪の検挙件数や、差押え金額などの統計をまとめ、報道された主だった事件を分析しながら、政策効果や国際的組織犯罪、テロ資金ネットワークを解明しよう(そこまでできるか分かりませんが、目標として)と考えています。

研究を始めるにあたり仮説としたいのは、AML/CFTの共通ルール履行も大切だが、対象国によっては地域特性を考慮した特別ルールが必要で、今後はそこに重点をおくべきではないか。

例えば、ボスニア・ヘルツェゴビナを例に挙げると、国際社会監督による平和構築が進んでいますが、同国内で蔓延していた汚職や組織犯罪は根絶されていません。過去に、ボスニア・ヘルツェゴビナのセルビア人地域スプルスカ共和国軍が、イラクに軍事援助をしていた事実が明らかにされています。平和構築においても、欧米諸国・西側の価値観で推し進めるのではなく、貧困や失業などその国の社会的要因を考慮しなければならないと指摘されています。同じことがAML/CFT対策にも言えるのではと考える訳です。

Reference: Corpora, Christopher A. "The untouchables: Former Yugoslavia's clandestine poitical ecnomy", Pugh, Michael. "Rubbing salt into war wounds: Shadow economies and peacebuilding in Bosnia and Kosovo", Problems of Post-Communism, 51(3), May/June 2004

日本に置き換えて考えると、日本政府はFATF勧告履行を進めるべく、警察庁が中心となって業界指導にあたっています。FATF勧告の肝は、金融機関・業界をはじめ、不動産、宝飾品業界など幅広い分野における顧客情報管理、疑わしい取引の報告と記録保存を義務付けていることにあります。例えば、銀座の高級ブランド店で、100万円の宝石をプレゼント用に買ったら、購入者の個人情報と購入記録は店に保存され、何か事があった場合、その情報は当局に報告されることになります。

廉価で購入できる金やダイヤモンドの産出国ならいざ知らず、輸入代理販売がほとんどの日本の宝飾品業界にも同じ義務履行を求めることにどれだけの意味があるのでしょうか。仕入れ価格が高くつく分、それを売却するロンダリングのうまみは少ないはず。むしろ、暴力団がしばしばペーパーカンパニーを使って売買・投資収益を上げている不動産業界に義務履行の徹底と情報収集協力を求めるべきでは。それが地域特性を考慮した対策だと考えます。

ボスニアやセルビアを比較分析の対象とするのは、両国が将来のEU加盟を目標にしているからです。また、以前も書きましたが、近年ボスニアには中東、中近東、アフリカなどからイスラム教徒の流入し続けており、テロ組織との結びつきなど社会の不安定化が懸念されています。その状況下、EU Homeland Securityはいかに追求されるべきかを考察するのが修士論文の目的です。

ボスニアやセルビアについて調べる際、セルボ・クロアチア語の壁にぶち当たるのは目に見えているので、フルブライト・ネットワークを駆使して、協力・助言を求めにサラエボ大学やベオグラード大学の教授を訪ねようと考えています。以下は、今後参考にしたい本や政府機関のリンクです。

学科長のJohn Doyle博士が編集した北アイルランドの治安対策に関する論文集
http://www.ria.ie/Publications/Books/History/Policing-the-Narrow-Ground--Lessons-from-the-Trans.aspx
北アイルランド警察
http://www.psni.police.uk/
ボスニア・ヘルツェゴビナの高等代表
http://www.ohr.int/

2010年11月16日火曜日

Derry/Londonderry

14日日曜日、北アイルランドのデリー/ロンドンデリーを日帰りで訪れました。ベルファストに次ぐ第二の都市とされますが、人口は約10万6000人。奇妙な静けさに包まれた街という印象を持ちました。

アイルランド北部にあり、街の西側で共和国と接する古都。Real IRAが活発な地域でもあります。北アイルランドではここ2-3年、未遂を含む爆破事件が多発していると報道されており、デリーでも10月に街北部のショッピングセンター近くで、自動車に仕掛けられた爆弾が爆発する事件がありました。クラスメートにデリーを訪れたことを話すと、「危険な雰囲気はなかったか」と気をもんでくれました。共和国の人も北の不穏な情勢を懸念しているようです。

街の中心部は、プロテスタントの入植者が17世紀初頭に築いた城壁で囲まれています。城壁の街というとクロアチアのドブロブニクを思い出しますが、壁はそれほど高くはありません。

午後12時半頃に中心部に着いたのですが、ショッピングモールは閑散としており、聞けば13時開店とのこと。城壁内の中心部は一時間もあれば十分歩いて回れる程度の広さです。モールは大小合わせ3か所ほどあり、夕方4-5時にはクリスマスセールを楽しむ買い物客で溢れていました。街中を歩きながらふと見上げると、通りには数メートル間隔で監視カメラが設置されていることに気づきました。

城壁の外には住宅地が広がります。カトリック住民が多い一角なのか、所々に共和国の国旗が掲げられています。城壁に展示されている大砲の背後から外側を眺めると、砲がちょうどその一角に向いていて、偶然とはいえ、少し暗澹たる気持ちに襲われました。

共和国国旗がはためく一帯には、紛争で亡くなったIRA/Sinn Fein関係者を弔う記念碑がいくつかあります。とりわけ象徴的な意味を持つのは、1972年1月30日に公民権を求めるカトリック住民が英国軍に殺害された「血の日曜日事件」のモニュメントです。
モニュメントの近く、英国軍に撃たれた数人が亡くなった場所の辺りに"Museum of Free Derry"があるのですが、この日は休日で見学できませんでした。また、この一角にはカトリック住民側から見た紛争をモチーフにした壁画が多く、行く人の目を惹きつけ、見つけるたびに足が止まりました。
街で接した人の印象はというと、やはりアイリッシュです。警戒するかのように、こちらをじっと見つめていると思いきや、一旦、言葉を交わすと優しく親切で、裏のない笑顔を見せてくれます。そしておしゃべり好き。ダブリンから空路で日帰りしたのですが、空港の往復に乗ったタクシーでは、話が途切れることはありませんでした。

ただ、言葉の端々や何気ない一言に共和国とダブリンへの対抗心や、英国への親近感が読み取れます。もちろん人によるのかもしれません。例えば、「ダブリンから来たのか?ダブリンは好きか?人が良いからな。でも、俺たちロンドンデリーの方がもっとフレンドリーだ」とか、「ロンドンで10数年働いていた。いい街だ。戻りたい」といった具合です。

付言すれば、街の名前も共和国の人の多くは「デリー」と言い、北アイルランドでは「ロンドンデリー」の呼び名が好まれているようです。

夕方、市役所を兼ねるギルドホール近くで18世紀から続くパブにブラリと入りました。中高年の男性客10人くらいがビールを飲みながら早口のおしゃべりに興じ、テレビのフットボール中継を見ては歓声を上げています。その姿と雰囲気はダブリンで見る光景と何ら変わりはありません。

午後6時半。空港へ行くのにタクシーを捕まえようと、買い物客が家路を急ぐ中心部を歩いていると、城壁の落書きに目が留まりました。

"PRIDE NOT PREJUDICE" 「偏見ではなくプライドを」

2010年11月13日土曜日

Terrorism, Transnational Crime and Corruption Center

先日、修士論文の提案書を提出しました。テーマはEU Homeland Securityについて。近い将来の加盟国拡大を視野に、マネロン・テロ資金供与対策を柱に政策を分析・検討したいと考えています。過去に紛争があり、国際的な組織犯罪活動が活発だった北アイルランドとバルカン諸国のケーススタディを提案してみたのですが、広範にわたり、言葉の壁もあるため、対象を絞らざるを得ないかもしれません。加えて、Homeland Securityなら当然、国境や出入国政策についても触れるべきであり、来年1月にスーパーバイザーが決まるまで、アイデアを煮詰めようと思っています。

これまでの過程で大変役立ったのが、米国バージニア州立のGeorge Mason Universityにある研究所"Terrorism, Transnational Crime and Corruption Center (TraCCC)"の論文やリンクでした。本ブログのお気に入りサイトの一つとしてブックマークしてあります。

http://policy-traccc.gmu.edu/index.html

同センターの創設者で主宰者のLouise Shelley教授はUniversity of Pennsylvaniaで社会学の博士号を取得、フルブライト奨学金でロシアへ渡った経験があり、旧ソ連諸国での組織犯罪に詳しい学者です。Shelley教授は私のフルブライト留学が決まった際に、同センターへ来るよう強く勧めてくれたのですが、当時、センターはAmerican UniversityからGeorge Masonへ移るさなかにあり、同大学の講義プログラムがそれほど豊富でなかったように思えたことから、周囲の勧めなどもあってGeorgetown SSPを選んだ経緯があります。

http://policy.gmu.edu/tabid/86/default.aspx?uid=76

にもかかわらず、研究滞在中に取材した時には適切なアドバイスをして下さり、大変助けてもらいました。そもそも国際的な組織犯罪とテロリスト・テロリズムの関係に興味を持ち、フルブライターになって今の生活を送れるのもShelley教授とTraCCCを知ったお蔭だと思っています。

研究分野の幅広さと活発さ、そしておそらく米国国務省とFBIと思われる政府当局との協力関係の強さには、日本の通信社のワシントン特派員も「日本の関係者はTraCCCには接触すべきだ」と評価しています。よくよく調べると、国際的組織犯罪とテロのほかに、紛争に関する研究も行われています。

昨日も大学の図書館からアクセスし、今後の研究の参考になりそうな論文や発表を片っ端からファイルに保存してきたところです。来秋には、Shelley教授とTraCCCに少しでも認めてもらえるような研究結果を残したいと願っています。

2010年11月9日火曜日

PKO and Intelligence

Reading Week明けの月曜日、Resolving & Managing Conflictの講義で国連PKOの概説がありました。先のエントリーで紛争介入・解決におけるintelligenceについて触れましたが、この日の講義でも取り上げられました。

担当教授で学科長のJohn Doyle博士は「ad-hocではあるが、intelligenceは当然活用されている。だが、アメリカやイギリスをはじめ、安全保障理事国のP5(Permanent Five)に限られるのが実情だ」とのことです。PKOは安保理決議によって実施されるためですが、派遣先相手国に関するintelligenceは意思決定レベルにとどまります。そして平和維持活動の現場レベルでは、情報交換・共有はあってもintelligenceは共有されません。

それもそのはずで、そもそもintelligenceは意思決定者decision makerのために、危険を冒して現場から集めた情報の分析と集約の産物だからであり、一国が易々と他国、ましてや危険を冒して現場に来ていない国に与えるわけがありません。そういう意味では、米国と英国の安全保障における同盟関係がいかに蜜月かという事実が理解できます。Georgetown SSP教授で、米国防大学 The National Defence Universityの教授でもあるRichard Russell博士が「Security Studiesは第二次大戦後、米国と英国で築き上げた」といっていたのを思い出しました。日本の政治家がしばしば「日米は強固な同盟関係にある」と手垢のついたフレーズを声高に叫びますが、それは東アジアやせいぜい太平洋地域においてのことにすぎません。

John Doyle
http://www.dcu.ie/info/staff_member.php?id_no=501
http://www.ria.ie/our-work/committees/committees-for-the-humanities-and-social-sciences/international-affairs-committee/biographies.aspx
Richard Russell
http://explore.georgetown.edu/people/rlr8/?action=viewgeneral
http://nesa-center.org/faculty/russell

話がそれますが、米英に関して言えば、国連安保理決議もなく、しかも、たった一本のガセ・ネタ元の情報で第二次イラク戦争へ突入したのは、戦略的に愚かとしか言いようがない訳です。この問題に関しては、intelligenceのpoliticization(政治化)にも原因があるのですが、ここでは触れません。

いずれにせよ、P5にはなりえない日本が他国から敬意を表される、頼りにされる存在となるために何をすべきか。あるいは、後方支援や資金援助、選挙監視と警察指導の現状のままでいいのか。憲法解釈・改正論議も重要ですが、その点に終始しない議論を期待したいです。

intelligence活動の80%はopen sourceの収集と分析と言われます。Doyle博士によると、それはPKOにも当てはまるとのことです。このクラスでは以前、「紛争の兆候をどう察知するか」という課題が出され、International Crisis Groupの"Grisis Watch"で一つの紛争国を取り上げて各自で分析しました。International Crisis GroupはNGOで、世界各地に調査員を派遣しており、アジアではタイ・バンコクに拠点があるようです。

Grisis Watchを見るとわかるのですが、まれに突っ込んだ情報が掲載されているものの、大体が報道や政府発表のまとめです。ネットでは国別に7年前まで遡って見られるので、中期的な情勢変化をつかむには良い目安となるかもしれません。ただ、Doyle博士は「Grisis Watchはopen source intelligenceとは呼べない」と指摘していました。

International Crisis Group:Grisis Watch
http://www.crisisgroup.org/en/publication-type/crisiswatch/2010/crisiswatch-87.aspx

2010年11月6日土曜日

Ripeness theory and intelligence

第1学期中間期の課題が本格化しています。国立ダブリン・シティ大学では、11月1日~7日まで"Reading Week"で、この間に日頃の遅れを取り戻し、エッセイの準備・執筆に充てます。先ほど、必修科目である"Resolving & Managing Conflict"のエッセイ2500語を書き終えました。Collierの"Greed or grievance"理論を取り上げた講義ですが、私が選んだ問題は「Zartmanの"Ripeness Theory"の強みと弱みについて紛争事例二つに当てはめて論じよ」というものです。

Ripeness Theoryとは、紛争介入・仲介において、"Mutual Hurting Stalemate""A Valid Spokesperson""a Way Out"を的確につかむことが和平交渉成功につながるとする理論です。簡単に説明すれば、「紛争当事者双方が、これ以上戦っても勝利は見込めないという状態の時に、自陣の状況を適切に伝えられる代表者を通じて話し合いを続け、機が熟した時、すなわちRipe Momentに交渉合意へ達する」とする必須条件を理論化したものです。

講義で必須論文だったUniversity of WolverhamptonのEamonn O'kane博士は北アイルランド紛争を例に、Ripeness Theoryには無理があると反論しています。すなわち、「HMSには1998年のGood Friday Agreement以前、90年代前半に達していた」「Zartmanの理論は一対一の紛争に当てはめられており、英国政府、Unionist、アイルランド政府、Sinn Fein、IRAと当事者が入り乱れた北アイルランド紛争で Valid Spokespersonを見出すのは困難である」などが論拠です。

私は課題エッセイの中で北アイルランド紛争を取り上げ、O'kane博士に反論しています。これまでに読んだChristopher Andrew博士の"The Defense of the Realm"には、一旦停戦を宣言したPIRAが1996年に英国でのテロ活動を再開させ、人的・経済的打撃を与えた一方、MI5をはじめとする英国側はロンドン地域のエネルギー施設破壊を狙ったテロを阻止し、PIRAの主要メンバーを逮捕しました。

しかも、MI5側はPIRAを徹底的に壊滅した、できた訳ではありません。むしろ、当時のメージャー内閣にアイルランド側との停戦へ向けた下準備を進めるよう進言しています。主要メンバーを逮捕され追い詰められたPIRAと、損害を被りつつ更なるテロを防いだMI5。結果は1997年のPIRAによる再度の停戦宣言と、翌1998年のGFAにつながっていきます。私は、1997年のこの時期が北アイルランドにおけるMHSであり、Ripeness Theoryの欠陥を補完して最終的な停戦合意へ導くのは、客観的な事象と証拠を分析し検討するintelligenceだ」と結論づけました。

Collier博士もそうでしたが、Ripeness Theoryを唱えたJohn's Hopkins University, SAISのWilliam Zartman教授もアカデミズム一筋の専門家です。まだ勉強を始めたばかりなので紛争介入・解決に明るくないですが、この分野でintelligenceの実務家出身の学者はほとんど目にしません。元CIAの分析官でGeorgetown, SSP教授のPaul Pillar博士の名前を教科書をで読んだくらいです。余談ですが、フルブライト客員研究中に、Pillar博士の「テロリズムとテロ対策」を受講しましたが、今振り返れば当時の無知と無学が残念でなりません。

日本政府が国連のPKOに自衛隊と警察官を派遣してしばらくが経ちますが、ロジスティックや警察訓練、金銭負担をするばかりでなく、intelligence活動、つまり派遣相手国・地域の情報収集と分析活動に力を入れてもいいと考えます。私は政治部記者ではないので、ひょっとしたら「すでに行っている」と批判されるかもしれませんが、取材結果や報道を見る限り、そうした実態は耳にしませんでした。覇権的な武力や絶対的な経済力がなくても、紛争解決のための道筋を提示できる能力のある国ならば、各国から尊敬されると思うのですが、理想論にすぎないでしょうか。

William Zartman
http://www.sais-jhu.edu/faculty/directory/bios/z/zartman.htm
Eamonn O'kane
http://www.wlv.ac.uk/default.aspx?page=15983
Paul Pillar
http://explore.georgetown.edu/people/prp8/

日本で無学だったために、Ripeness Theoryの"Mutual Hurting Stalemate""Valid Spokesperson""a Way Out"の学術的な日本語訳が分かりません。ご存知の方、こっそり教えて頂けると幸いです。

2010年10月15日金曜日

Irish or the US education

大学院第一学期が始まって3週目が終わりました。こちらの教授方法は、2007-08年に客員研究員(実態は客員学生)として過ごした米国のGeorgetown University, Security Study Program(SSP)とは大きく違うため、最初は戸惑ったのですが、慣れたと同時に自分のペースもつかめてきたところです。

所属している国立ダブリンシティ大学、Dublin City University(DCU), MA in International Security and Conflict Studies(MISC)は、John Doyle学部長に言わせると「"Security Studies"と"Peace Studies"のちょうど中間を学ぶイメージ」です。Security Studiesの大学院には前述のGeorgetown/SSPのほか、英国のKing's College, University of Londonが代表格のようです。実際、DCU/MISCにはSSPやKing'sにあるようなintelligenceを扱う科目がなく、大学院の性格とはいえ残念ではありますが、修士論文や各科目のエッセイに合わせて自分で学ぼうと考えています。

では米国式と何が違うのか‐‐。まずは、予習に課される読書量です。SSPでは毎週、どの科目も論文数本、本一冊、政府発表のレポートや雑誌の特集記事など、200-300ページを読んでいかなければならないのは当たり前でした。担当教授がシラバスにメニューをきっちり揃えてくれており、それらを読み込んだ知識を講義での議論で確かめるという具合です。一方、DCU/MISCでは、各科目で課される予習量は論文3-4本、ページ数にして100ページ以内が必修文献です。教授達はこれに加え、各週のテーマごとに参考図書や論文を10冊(本)程度、それぞれリストアップしてくれます。つまり、「このテーマに関心のある学生は、これらも頑張って読んで知識を深めて下さい」という訳です。欧米の教育関係者に聞いたところによると、こうした方法は欧州の大学院で一般的なようです。料理でいえば、コースメニューの米国に対して、プリフィックスもしくはアラカルトメニューの欧州というイメージでしょうか。

そして授業では、教授の講義に対して学生が競い合って意見を述べるだけの米国式とは違い、どの授業でもプレゼンテーションやディスカッションでグループワークも求められます。この点も欧州では一般的なようです。もちろん、張り合うように意見を言い合うのはこちらでも同じですが、情けないことにまだまだ互角に張り合えていません。さらに、中間や期末のレポート、エッセイの問題は学期の初期にあらかじめ知らせてくれます。SSPでは事前に個人で問題設定をして教授と打ち合わせたり、提出締め切りの約一か月前に問題が発表されていました。

その講義ですが、第一学期は必修ばかりで次の五科目を受講しています。
  • Resolving and Managing Conflict
  • Research Methods
  • International Security
  • Issues and Practices in Contemporary International Politics
  • International Law and the Use of Force
中でも、米国人留学生は「"Research Methods"のような授業はアメリカにはなかった」と驚いていました。またintelligenceの講義はないものの、"Resolving and Managing Conflict"や"International Law and the Use of Force"は学部やSSPで学ばなかった分野だけに、英語で理解するのは骨が折れますが、新しい分野を知る楽しさがあります。

例えば、"Resolving and Managing Conflict"の第一週で必修論文の一つだった、Paul Collier教授(オックスフォード大学経済学部)の"Economic Causes of Civil Conflict and their Implications for Policy"は、紛争が起きる国には共通の経済的要因があると説きます。それは、①急速な人口増加②例えばダイヤモンドのように、その国でほとんど唯一の輸出品③低教育普及率④人口の45%以上を占める一民族の存在などです。この論文は"Greed or Grievance"理論として知られ、「紛争が起きる要因は、経済的要因"Greed"が大きい」というその妥当性を巡って学会で議論を呼びました。

そのPaul Collier教授は世界銀行のディレクターも務めたエコノミストでもあります。
http://users.ox.ac.uk/~econpco/

講義でも、ある特定の紛争国に当てはめて考えよとの課題が出されました。1992年に崩壊した旧ユーゴスラビアに当てはめると、①急速な人口増加はなく②ある程度の工業国で観光資源に恵まれていたほか、競争力のある輸出品目はなかった③教育レベルは平均より高かったとみられる④セルビア、クロアチア、モスレム、スロベニア、アルバニア、モンテネグロ、マケドニアと人種は多数存在し、支配的な民族はなかったと言える。そもそも、スロベニアとクロアチアが相次いで独立したのも、セルビア民族主義の高まりに対する不満"Grievance"が強かったためで、妥当性はないと結論付けました。

ところが、Collier教授は同論文の中で、「1991-92年にスロベニアとクロアチアが相次いで独立を果たしたことでセルビア民族の支配率が高まりボスニア紛争になった」と分析しています。一見すると妥当なようですが、スロベニアとクロアチアが独立した段階でそれぞれ短期間ながら、旧ユーゴ軍・セルビア軍勢力との紛争が起きており、"Greed or Grievance"理論をボスニア紛争だけに当てはめるのは妥当性を欠くと考えます。

ただ、議論は別にして、経済学者の観点から紛争を分析する手法は新鮮でした。担当のJohn Doyle博士も「紛争は経済学だけでは分析しきれず、社会的、政治的な背景も合わせ見なければならない」と当然のことを述べながら、多角的なアプローチの必要性を学生に説いていました。ちなみに、"Greed or Grievance"理論の妥当性と非妥当性は中間期エッセイの問題の一つにもなっています。

その他、学生生活の一般的なことでいえば、図書館が遅くても22時までしか開いておらず、日曜・祝日は利用できない不便さが米国との違いですが、同様の感想をアイルランド・米国政府間の奨学金で留学した米国人学生達も抱いており、Irish Timesが特集記事で取り上げていました。

http://www.irishtimes.com/newspaper/education/2010/0928/1224279816040.html

2010年10月2日土曜日

Garda, Irish Police

Garda,アイルランド警察関係者と話す機会がありました。以下はそのメモ。
  • 職員は総勢約14000人。アイルランド共和国全体の治安維持と犯罪捜査を担う。国の規模が関係しているのだろう、米国や日本のような自治体警察制度ではなく、警察官としてGardaに入れば、国内の様々な地域へ配置され、任務にあたる。
  • 日本の警察のように、刑事捜査部門と警備・公安情報部門を有している。
http://www.garda.ie/
http://www.garda.ie/Controller.aspx?Page=40&Lang=1
  • 犯罪収益やマネーロンダリング捜査の専門部門もあるほか、入国登録・管理を担っている点も大きな特徴だ。
http://www.garda.ie/Controller.aspx?Page=28
http://www.garda.ie/Controller.aspx?Page=31&Lang=1
  • 制服警官は銃を携帯していない。
  • PSNI, Police Service of Nothern Ireland,北アイルランド警察との情報共有や協力関係は和平合意とその後のPower Sharing体制を受けて順調だという。既報の通り、ここ2-3年は和平合意に反対する勢力による事件が多く、犯罪者の抜け道となっている南北国境の捜査協力と強化が喫緊の課題だという。
http://www.psni.police.uk/
  • アイルランド外部、国際的にはInterpolとの情報共有や協力関係が深いという。関係者によると、アイルランド警察は北アイルランドを除く他国との情報共有にあまり積極的ではなく、公的情報やデータも外部に出さない傾向にあるという。この点は日本警察と似ているかもしれない。ただ、あくまでも表向きの話であり、捜査部局間や幹部レベルでは綿密な連絡と共有をしていると考えてもおかしくないだろう。
  • 参考までに、アイルランド軍は米軍との協力関係は緊密なようだ。アイルランドで接触した米軍関係者も「アイルランドにとって第一の同盟国は、(英国ではなく)我々米国である」と言い、その点はアイルランド人も共通認識を持っている。

2010年9月27日月曜日

Northern Ireland Alert

MI5と英国内務省が北アイルランド情勢について"Strong possibly attack"という表現で英国本土内での爆破計画などへの警戒を高めました。前週にMI5長官が講演で示した認識を踏襲したもの。

http://www.guardian.co.uk/uk/2010/sep/24/mi5-britain-terrorism-threat
http://www.irishtimes.com/newspaper/ireland/2010/0925/1224279657498.html

少し前の報道では、アイルランド・英国政府は反体制派共和主義者たちとの協議していないと報じられていましたが、この情勢判断を受けて今後はどう対応するのだろう。関心が高まります。

http://www.irishtimes.com/newspaper/ireland/2010/0921/1224279368209.html

また、共和主義者やUnionist、Nationalist等との関係は不明ですが、北アイルランドにおける人身売買などの組織犯罪もニュースになっています。

http://www.irishtimes.com/newspaper/ireland/2010/0922/1224279433567.html

いずれにせよ、研究対象の現状が時々刻々と流動化しており、目が離せません。

2010年9月23日木曜日

Money laundering & terrorist financing in Italy

日本のメディアも報じていますが、バチカン・ローマ法王庁の銀行預金の送金が、イタリアの対マネーロンダリング関係法に違反している疑いがあるとして捜査されています。

http://www.guardian.co.uk/world/2010/sep/21/vatican-bank-chief-investigated-laundering
http://www.irishtimes.com/newspaper/frontpage/2010/0922/1224279435168.html
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-11380628

一方、イタリアのある銀行は長年リビアとの取引関係が深く、近年は風当りが強まっているようです。

http://www.guardian.co.uk/business/2010/sep/21/unicredit-boss-expected-to-quit

2001年の9/11テロ以降、各国の金融当局の連携でマネーロンダリングとテロ資金供与対策(Anti-money landering and countering terrorist financing, AML/CFT)は緊密化しています。日本でも警察庁主導で有識者会議を開くなど、不透明なマネーへの監視は強まっており、ローマ法王庁の資金に対する捜査は、宗教(団体)も対象の例外でないことを物語っていると言えます。

http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/index.htm

Kim Jong-un? The next DPRK leader

北朝鮮の後継者問題については、欧州でも関心の高いニュースです。GuradianもIrish Timesも22日付紙面で力の入った記事を掲載していました。特にGuradianは金一家に仕えた日本人の元料理人にも取材し、金正雲の人物像に改めて迫っています。また、Irish Timesに掲載されているAP通信の写真をみると、金正日の老けた姿が時間の猶予のなさを感じさせ印象的です。

http://www.guardian.co.uk/world/2010/sep/21/north-korea-kim-jong-un
http://www.guardian.co.uk/world/2010/sep/21/north-korea-leadership-workers-party
http://www.irishtimes.com/newspaper/world/2010/0922/1224279432731.html

MI6 & Interrogation

CIAが水攻め拷問を行っていて非難を浴びましたが、MI6でもこんな話が9月22日付Guardianの1面で報じられています。

http://www.guardian.co.uk/law/2010/sep/21/mi6-consulted-david-miliband-interrogations

そのMI6についてですが、早速、公式史書を購入しました。ペーパーバックで22.45ユーロ。本文はMI5より約100ページ少ない752ページあります。当然のことながら、アイルランドやIRAに関する記述は少ないです。設立された1909年から、第二次大戦後の1949年までの公式史書ですので、日本に関する記述が多少あり、読むのが楽しみです。9月22日付Guardianも見開きで紹介。

http://www.guardian.co.uk/world/2010/sep/21/mi6-first-authorised-history

また関連記事として、第二次世界大戦で活躍した女性スパイEileen Nearne氏の葬儀についても取り上げています。Irish Timesの記事も合わせて読むと、壮絶な活動をしながら、引退後はひっそりと過ごしていた様子がうかがえます。

http://www.guardian.co.uk/world/2010/sep/21/spy-eileen-nearne-heroine-burial
http://www.irishtimes.com/newspaper/world/2010/0922/1224279433443.html

2010年9月22日水曜日

Al-Qaeda in the Islamic Maghreb

フランス情報機関の警戒は、アルカイダ系のテロ組織に対するものだったようです。BBCとGuardianから。

http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-11379532
http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-11386484
http://www.guardian.co.uk/world/2010/sep/20/france-alert-terror-threat-paris


それにしても、9月14日はパリに滞在していましたが、こんな騒ぎになっていたとは恥ずかしながら知りませんでした。

http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-11302294

9月22日付Irish Timesでは、ド・ビルパン仏前首相のこんな批判を取り上げています。テロの危険性を知らせるか否か、知らせるとしたらどのようにするのがベストか。あるいは、知らせるべきではないのか。その場合、テロが現実となり、その上、犠牲者が出たとしたら、非難は避けられません。テロへの対処を求められた為政者の判断と決断は常に苦渋に満ちているものなのでしょう。

http://www.irishtimes.com/newspaper/world/2010/0922/1224279433414.html

The Official Archive of MI6

MI5に続いてMI6の公式史書が出版されました。MI5は1909年から現在に至るまで記述されているのに対し、MI6は1909-1949年の40年間に限られています。1950年代以降の隠された歴史が明らかにされるのはいつになるのでしょう。興味は今後何十年も尽きません。

http://www.bbc.co.uk/news/uk-11383493
http://www.bbc.co.uk/news/uk-11378601

執筆者はQueen's University, BelfastのKeith Jeffery教授。

http://www.qub.ac.uk/schools/SchoolofHistoryandAnthropology/Staff/AcademicStaff/ProfessorKeithJeffery/

BBCのインタビューに対し、「子供がお菓子屋さんに入るような興奮を覚えた」と語っています。

http://www.bbc.co.uk/news/uk-11377240

こちらは、4年前に編纂が決まったの時のインタビュー記事。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/6186381.stm

出版のレポートと合わせ、スパイ小道具についてもレポートされてます。ワシントンDCにある「スパイ博物館」を懐かしく思い出しました。

http://www.bbc.co.uk/news/uk-11383496
http://www.spymuseum.org/

とにかく、明日またも書店へ急がねばなりません。お菓子を買い求めるかのように。

2010年9月21日火曜日

Warning by DG of MI5

MI5長官が最近の北アイルランド情勢について強い警戒感を示しています。先日読み終えた公式史書でも、MI5は数年前の時点で「Real IRAとContinuing IRAによる攻撃は強まるだろう」と予測しており、今回の長官の発言はそれを裏付ける形の警告となりました。北アイルランド警察関係者は、共和国(南)との国境周辺での捜査協力が必要だと呼びかけています。

http://www.irishtimes.com/newspaper/ireland/2010/0918/1224279171528.html

2010年になって北アイルランドでの事件が多発している理由は何なのでしょうか。明確な説明はまだ目にしていませんが、近年の経済状況の悪化が背景の一つに挙げられるかもしれません。

http://www.irishtimes.com/newspaper/finance/2010/0916/1224278993713.html

北アイルランドは英国内でも特に経済状況が悪く、失業者数も増えています。仕事がなくて金に困って、ギャングや反体制派共和主義者の犯罪の片棒をかつぐことがあり得てもおかしくありません。

それにしても、"the Worshipful Company of Security Professionals"のような組織が英国にはあるんですね。無知なだけでしょうが、英国のSecurity分野の裾野の広さと伝統を感じます。

http://www.wcosp.com/

2010年9月20日月曜日

The Defense of the Realm

Cambridge UniversityのChirstopher Andrew教授によるイギリスMI5の公式史書(本文851ページ)を読了しました。以下はIRAに関する記述のメモ。
  • 1980年代、国際的テロ活動の強まりを受け、MI5はテロ対策にも重点を置くようになった。1909年の創設以来、二度の世界大戦期はドイツの、冷戦期はソ連の諜報対策が中心だった。中東のテロ組織やIRAの活動は1960年代の終わりから顕著になってきていた。英国本土におけるIRAテロ対策の主役は1883年に創設されたロンドン警視庁のSpecial Branchだった。北アイルランドではその役割をRoyal Ulster Constabularyが担い、MI5はそれぞれをサポートする立場だった。IRAによる英国本土の攻撃の最初は1938-9年にさかのぼる。北アイルランドとアイルランド共和国(南)の国境周辺においては1958年。その当時、MI5はユニオニスト政府からの要請を受けてBelfastにLiasonを置いていたものの、IRAと対峙していたのは、英国陸軍の支援を受けたRUCだった。
  • 英国本土の政府内では1960年代の終わりまで、北アイルランド情勢についてあまり議論されることはなかった。しかし、MI5は1968年に高まったカトリック系住民による公民権運動がIRAの支持基盤拡大につながるとみていた。英国政府は1969年にthe Official Committee on Northern Irelandを、Joint Intelligence CommitteeはCurrent Intelligence Group on Northern Irelandをそれぞれ設立し、対策に腰を上げた。1969年6月、JICは北アイルランドには①IRA②公民権運動派③プロテスタント過激派が主に活動しており、中でも①は共産主義者の、②はトロツキー主義信奉者の支持を受けていると分析した。実際、IRAはアイルランド共産党や共産主義者を通じて、ソ連へ武器提供を要請。ユーリ・アンドロポフ書記長は当初拒絶したが、1971年頃にゴーサインを出した。そうした背景の中、英国政府は1969年8月14日、治安維持を目的に英国軍を北アイルランドへ派兵した。
  • こうした英国側の動きに対し、IRAは例えばRUCに関する何の秘密情報も持ち合わせておらず、ダブリンで得られるような公式発表物の情報しか取得していなかった、とアイルランドの歴史学者の大家、Trinity College of DublinのEunan O'Halpin教授は指摘している。
  •  http://tcdlocalportal.tcd.ie/pls/public/staff.detail?p_unit=histories_humanities&p_name=ohalpine
  • 1974年のIntelligence Co-ordinator's Annual Reportによると、MI5の活動全体のうち、3-4.5%しか北アイルランド問題に充てていない。対転覆工作活動全体に占める割合でも、テロ対策には10%未満、北アイルランド問題には15%程度だった。それに対して、対諜報活動には全体の52%、対転覆工作活動には28%の人員や資源を割いていた。英国政府は1916年のイースター蜂起や1922年のアイルランド自由国独立時から、IRAとシン・フェインに対し注意を払っておくべきだった。そうすれば、その後の紛争と混乱を長く避けられたかもしれない。1970年、ベルファストに派遣されたMI5のSecurity Liason Officerは着任直後、「情勢は混沌としている」と記している。混沌の原因には、警察機構と軍部、官僚の相互不信が指摘される。1976年の同レポートでは、「北アイルランド問題に対し、長期的視野が欠けている」と批判している。
  • 他方、PIRAの活動も1920年代の成功体験にしがみついた時代遅れの戦術だった。それでも、1969-71年の間に、IRAボランティアの数は約50人から1200人に増えていた。これに対し、RUCのインテリジェンスは、望みがないくらいに古かった、という。
  • 1972年1月30日のデリー/ロンドン・デリーで起きたブラッディ-・マンデー事件を受け、IRAは同年2月22日に英国本土で、3月24日にはベルファストで復讐のテロ攻撃を起こした。これを受け、英国政府はNorhern Ireland Officeを立ち上げる一方、MI5とMI6で構成するIrish Joint Sectionをロンドンとベルファストに開設して対処にあたった。MI5は北アイルランドでの情報収集経験に乏しく、また、北アイルランドは最も不人気な派遣先だった事情から、IJSの中心の中心的役割はMI6が担った。
  • IRAはリビアのカダフィ大佐からも武器提供を受けていたが、1973年のクラウディア号による武器密輸は英国側に阻止され、失敗に終わっている。1970年代後半には、カダフィ大佐側との関係悪化で、資金も枯渇するようになった。それと同時に、PIRAの活動も弱体化していた。北アイルランドにおけるテロ行為による死者数は、1974-6年の平均264人から、1977-9年は102人減少した。PIRAのボランティア達が英国側に殺害、逮捕されたためと考えられる。
  • しかし、1978年の夏には大陸欧州へテロが拡大した。ドイツ国内三か所で爆破、爆破未遂事件があったのをはじめ、11月30日から12月1日にかけては、北アイルランドの16都市で、12月17-8日には、英国本土のブリストル、ロンドン、リバプールでも事件が起きた。英国本土ではMetropolitan Police Special BranchがIRAテロ対策の中心だった。英国陸軍はPIRAの活動は1980年代にはより洗練されて手ごわくなるとみていた。1979年8月27日の事件はPIRAが最も成功させたテロの一つ。スライゴ―でエリザベス女王のいとこEarl Mountbattenとその孫のほか、2人を遠隔操作の爆弾で殺害。その数時間後には英国軍の車列を爆破し、計18人の兵士を殺害した。
  • 1980年になっても、英国本土ではMPSBが、北アイルランドではRUCがPIRA対策の中心舞台だった。MI5はこの年にオペレーションのコントロールを握ることになるが、それでも、MPSBなどとの主導権争い巻き込まれまいとしていた。同年2月16日、3月1日、3月10日、翌1981年12月とPIRAはドイツ国内やブリュッセル、ロンドンでテロ攻撃を仕掛けていった。
  • PIRAは1980年10月から12月にかけて、ロンドンとベルファストに収監されていた囚人達がハンガーストライキを起こした。「自分たちは政治的な地位を求めて活動しているのであって、犯罪者ではない」というのが訴えで、次々と餓死していった。このハンガーストライキによる訴えは米国のアイルランド系住民から同情を得ることとなった。1982年、ニューヨークの裁判所で開かれたアイルランド支援団体the Irish Northern Aid Committeeのメンバーの公判では、「過去20年以上にわたり、米国からアイルランドへ100万ドル以上に値する銃器と弾薬を密輸していた」ことが明らかにされた。
  • 当時、こうした犯罪行為を取り締まる立場のFBIに対し、MI5は次のように苦言を呈してる。「FBIは我々との情報交換に消極的で、情報は常にこちらからの一方通行だ。その理由は、FBIが米国民に関する情報を他国へ提供すべきでないという法律上の壁に加え、FBI自体が情報機関というより、情報交換に馴染みのない警察機構の性格が強いためだ」
  • その一方、MI5はフランスやベルギーといった大陸欧州の情報機関、アイルランド共和国警察との協力関係を強め、共同作業を成功させていった。その過程で、1978年をもって停止していたPIRAとリビアの関係が、ハンガーストライキを機に復活していた事実や、PIRAはソ連と東欧諸国からも武器や手榴弾を調達していたというインテリジェンスが蓄積された。1984年9月29日には、米国から密輸された武器類を積んだ船をRoyal Air Forceが追跡、南の海域でアイルランド共和国海軍が拿捕した成功事例もある。
  • リビアのカダフィ大佐は、1984-7年にかけてもPIRAに武器を提供しており、特に1985-6年にかけては120トン以上の武器類が密輸されていた。それらを阻止できなかったところに、英国のcounter-terrorismの弱さがあると指摘される。
  • 1984年、IJSはMI5が中心的役割を担うことで解体された。背景には、北アイルランドでのテロ発生件数と死亡者数の低下がある。1972年には1万件以上の事件で500人以上が死亡したのに対し、1983年には年200-300件で死亡者も80人以下に減っていた。
  • 1984年10月16日、PIRAはロンドンのブライトンにあるグランドホテルで爆破テロを起こした。MI5が何年も前から危険性を訴えていた通り、保守党党大会が狙われ、党員5人が死亡、30人以上が負傷した。難を逃れた当時のサッチャー首相に、PIRA側は犯行声明を出した。"Today we were unlucky, but remember we only have to be lucky once. You will have to be lucky always."
  • 1980年代の北アイルランドにおけるテロ対策上の問題点として、RUCがPIRAテロリストの逮捕より、射殺を好んでいたとする疑念が指摘される。1988年3月6日、ジブラルタルでPIRA Active Service Unitのメンバー3人を射殺したオペレーション"FLAVIUS"は、その後、射殺が適切だったか論争を引き越した。結果的に、3人は64キロの爆弾と200発のカラシニコフ銃の弾薬を準備し、ジブラルタルでの軍事セレモニーを襲おうとしていたとして、オペレーションは成功だったという評価が定まった。
  • PIRAはその後もテロを起こすが、払う犠牲の方が大きくなってきたようである。MI5は、フランス、ベルギー、オランダ、デンマーク、ドイツの情報機関とPIRA対策で常に協力し、必要があれば、ポルトガル、スペイン、イタリア、オーストリア、スウェーデンの情報機関にも協力を求めてPIRA包囲網を築いた。他方、アメリカでも1989年までにはFBIとの対PIRA関係を構築。武器密輸に絡む4人の米国人逮捕に結びつけた。この4人の逮捕は、PIRAの新型遠隔操作爆弾や対空ロケット砲の開発阻止に寄与したとされる。
  • 1990年代、MI5の諜報活動の主眼はテロリストへ移った。1991年2月7日には、メジャー内閣の閣議が迫撃砲で狙われるテロが起きた。この時期、英国本土でのPIRAによるテロ活動が増加。1977-89年にはテロ攻撃は年間4日を超えなかったのに対し、1990年には19日と80年代の合計より多いテロが起き、1992年には47日に及んだ。1991年6月までには、英国本土でのテロ対策の中心的役割と主導権が、MPSBからMI5に移ることとなった。
  • "Only a combination of good intelligence, good policing and good luck prevented several more incidents on a similar case." the Whitehall Report
  • 1991年の始めからPIRAから停戦交渉の兆しはあった。その背景にいたのは、デリーのBrendan Daddyというビジネスマンで、1970年代前半にシン・フェイン党党首のRuairi O'Bradaighと知り合いだったことから、英国政府は彼を交渉の窓口として活用していた。1993年2月20日にはシン・フェイン党のMartin McGinnessが英国政府との交渉の必要性を公言。そうしたインテリジェンスは2月22日にメジャー首相に伝えられた。1993年7月14日には、MI5、MPSB、スコットランド警察の協力でRobert Fryerを逮捕。1994年6-7月には、PIRAが停戦の意向を示しているというインテリジェンスが増え、8月31日に正式な停戦が表明された。それでも、一部のASUによるテロ行為は続いた。
  • 北アイルランドにおけるMI5の死者はゼロだったのに対し、RUCの死者は300人以上、負傷者は9000人以上。英国軍の死者は763人に上った。1996年、MI5は警察の重要組織犯罪捜査をサポートするよう、the Security Service Actが修正された。
  • Tony Blair首相はインテリジェンスには関心を示さなかったが、MI5の北アイルランドン紛争に関する報告は注意深く読んでいたという。
  • 1998年1月のthe final Belfast (Good Friday) Agreementでは、①北アイルランドは住民の多数意見がある限り英国に帰属する②ユニオニストは南との権力分担と国境での協力関係を受け入れ、シン・フェイン党の政治参加も認める③共和主義者を釈放することで合意した(特に③を巡っては、未だに反体制派共和主義者からの異議の声が強い)。
  • 2007年度、MI5の組織資源の15%を北アイルランドテロ対策に割いた。同年、MI5は史上初めて北アイルランドにおけるインテリジェンス活動の主務を与えられ、ベルファストに本部を設置した(この点に関し、2010年における反体制派共和主義者によるとみられる事件多発を受け、MI5とPolice Service Nothern Ireland, PSNI間の情報共有が徹底されていないと批判されている)。2007-8年のIntelligence and Security Committeeのレポートによると、MI5は「英国本土と北アイルランドにおけるReal IRAやContinuing IRAによるテロ攻撃は今後も続く」とみているという。
  • "The further backwards you look, the further forward you can see." Winston Churchill 

2010年9月18日土曜日

Paris & Tokyo Police

9月10日から16日まで、フランス・パリへ行ってきました。友達との再会の合間を縫って、エッフェル塔、ノートルダム寺院、凱旋門、ルーブルとオルセー両美術館を見て回ってきましたが、個人的に強い感慨を抱いたのは、パリ警視庁(La prefecture de police de Paris)です。


http://www.prefecturedepolice.interieur.gouv.fr/Pied-de-page/node_478/node_1302

なぜ感慨を持って眺めてきたか。日本の警察制度と警視庁(Tokyo Metropolitan Police Department)のモデルだからです。司馬遼太郎著「翔ぶが如く」第一巻では、冒頭で日本警察の父・川路利良大警視とフランスの警視総監・ジョセフ・フーシェ(Joseph Fouche)について触れた後、物語を維新後の明治初期へ展開していきます。


5-6年前、警視庁を退官した元警察官を取材する機会があったのですが、川路大警視と同じ鹿児島県の出身だったその人は、川路とその語録「警察手眼」について誇らしげに話してくれました。そんな経験もあったためパリ警視庁を訪れたのですが、豪華な構造の本部には一般人が入れるような博物館はありません。受付の警備によると、パリ5区の警察署にあるとのことです。

滞在中、International Herald Tribune紙(13日付)で、「フランスへのテロの危険性はこれまでになく高まっており、パリの地下鉄でアルジェリア人のイスラム過激派によるテロがあった1995年並みの危険度だ」とフランス諜報機関が分析しているという記事を読みました。仏紙"Le Journal du Dimanche"からの転電なのですが、詳しく読もうにもフランス語を解せないため、語学力の必要性を実感しました。


少しの仏語力と知識があれば、博物館はもちろん、パリ警視庁正面玄関に架かる碑文も難なく読めたでしょう。

仏諜報機関が指摘した「テロの危険性」とは、この組織が絡むテロの可能性だったのでしょうか?

http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-11376257

2010年9月10日金曜日

Terrorism and New Media Conference

今月から大学院生活を送るDublin City Universityで9月8-9日、テロとインターネットとの関連性をテーマにした研究者交流会議"Terrorism and New Media:Building A Research Network"があり、発表を聞いてきました。参加者は欧米の大学や研究機関から60-70人。印象に残った発表を列挙すると、

Dr.John Horgan, Pennsylvania State University
  • 従来のテロ研究は(対象の)視野が狭く短期的な分析で、専門家の意見が多く、政府・政策から影響を受けたものが目立つ。テロを長いプロセスのものと捉え、政策と統合できるような研究方法に変えていくべきである。
  • IRAもAl-Qaedaも、テロとテロリストは世代から世代へ受け継がれている側面がある。長期的な視野に立って、歴史から学ぶ研究(手法)が必要だ。
Ms.Heather Epkins, University of Maryland
  • ワシントンDCで活躍する大手メディアの国防関連担当の記者たちにインタビュー調査したところ、多くの記者がこのディジタル・メディア時代下、「従来の記者(活動)はもはや死んでいる」「もうすぐ失業するだろう」と答えた。当局との関係や距離感がモノを言う国防関係の報道においてもである。
Prof.Phil Seib, University of Southern California
  • 通信機器が発達した現在、移民の移住先との同化問題は深刻だ。なぜなら、移民したとしても、携帯電話で母国の家族や親戚、友達と話せ、多チャンネルの衛星放送で母国の番組や母国語の番組を見ることができる。
  • こうした背景を踏まえ、イギリスではMI-5が、特に14-16歳くらいのパキスタン系イギリス人をhome-grown terroristになる可能性を秘めている危険性がある、とみているという。
  • Public Diplomacyをテロ対策に活用しなければならない。移民に対して、政府支援の職能訓練などはどうだろうか。
Dr.Paul Reilly, University of Leicester
  • 北アイルランドでは、Bebo, MSN, You Tubeといったネット・コミュニケーション・ツールが、犯罪行為に使われている。だが一方で、北アイルランドの若者住民たちは、「不穏情勢安定化のために、英国と南北アイルランド政府にはface-to-faceのコミュニケーションが必要」とインタビューに答えている。
  • 北アイルランド警察("PSNI", Police Service Nothern Ireland)は反体制派共和主義者のホームページやネットでの活動を日常的に監視していないとインタビューに回答している。
Ms.Lorraine Bowman-Grieve, Leeds Trinity University College
  • 反体制派共和主義者達は、さまざまやホームページを立ち上げてプロパガンダをするだけでなく、資金調達も行っている。"Our revenge will be laughter of our children."
Ms.Lisa McInerney, Dublin City University
  • 2010年は近年に比べてことのほか、北アイルランドでReal IRAやContinuing IRA絡みとみられる爆発事件や殺人事件が多い。
全ての発表を拝聴できませんでしたけれども、得るところの多い会議でした。

Dubrovnik, the ex-Yugo Civil War

旧ユーゴスラビア諸国の一つクロアチア共和国のドブロブニクを、8月22日から29日まで旅行してきました。かつて、イギリスの元首相ウィンストン・チャーチルが「アドリア海の真珠」と称賛した古都ですが、1991年12月6日早朝の旧ユーゴスラビア軍とセルビア軍による攻撃で、旧市街中心部から山側に面した北半分は焼け落ちてしまいました。それでも住民たちはほとんど自力で家を改修し、街は世界中から観光客をひきつけています。


ドブロブニク旧市街はユネスコの世界遺産に登録されていることは広く知られています。旧市街のすぐそばで暮らすある家族の女性は言います。「内戦で崩壊した家を建て直すのに、政府も国連もほとんど何もしてくれなかった」。女性の家族は約200年にわたり代々住み続けていますが、家の再建のため受けた公的補助は、「2000ユーロと600ドイツ・マルクだけだった」と当時を振り返りました。旧市街地を歩いていると、「真珠」のような白い壁のあちこちに銃弾の跡が見られます。また、アドリア海に面した旧市街の南側には、家屋が崩壊したがれきが今もそのまま残っている所もあります。


約20年前の内戦を今も感じさせる遺物は他にもありました。クロアチアの南部と接するモンテネグロとの国境です。8月27日、日帰り旅行でモンテネグロを訪れたのですが、クロアチア側の出国審査を終えると、バスで約10分間、”無国籍地帯”を走りました。モンテネグロへの入国審査はありません。この一帯は現在、欧州連合によって国境を再区画されている最中です。帰路も同様に、モンテネグロ側での出国審査はなく、クロアチア側での入国審査だけ受けました。

ドブロブニクからはボスニア・ヘルツェゴビナのモスタルにも、日帰りのバスツアーが出ています。ボスニアはイスラム教徒の多い国ですが、ドブロブニクのクロアチア人によると、最近はイラン、イラク、アフガニスタンから、イスラム過激派の難を逃れて移住するモスレムが多いとのことです。この政治的亡命話は、ボスニア紛争がイスラム、カトリック、セルビア正教という異宗教間の民族紛争だったことを改めて物語っているように思えました。

ドブロブニクで話したクロアチア人達は今もボスニアやセルビア人に対し、簡単には言い表せない複雑な感情を抱いている様子でした。平和的な雰囲気と活気が漲る街ですが、"Homeland War Museum""Homeland War Gallery""War Photo Limited"といった内戦関連の博物館があります。また、"Maritime Museum"と"Sponza Palace"といった一般の博物館でも内戦被害を展示していて、しばしば心を痛めました。

と同時に、ドブロブニクの人達がいかに苦労して、頑張って、内戦から立ち直ったのか知りたいという好奇心も働きました。復興に関する展示や博物館が同じように数多くあれば、ドブロブニクという世界遺産が経験した内戦の悲惨さを更に訴えられ、戦争への抑止力になるのではないでしょうか。

2010年9月6日月曜日

Blair's Visit

ダブリンの書店で開かれたトニー・ブレア元英国首相のサイン会は厳戒態勢の中にも、物々しかったようです。

http://www.bbc.co.uk/news/uk-northern-ireland-11187320

訪問中、ニューススタンドは閉店を余儀なくされ、ダブリン中心部の交通も遮断された模様。サイン会の行列には罵声が浴びせられており、そうした国民感情や背景事情を知らない外国人が軽々に並ばなくて良かったのかもしれない、と思ったりもします。書店内にうず高く積まれている"A Journey"ですが、立ち読み者の関心は高いです。中には、別の本で表紙を隠すようにして、ブレア自叙伝をレジに持っていくお客さんもいました。

http://www.guardian.co.uk/politics/2010/sep/04/tony-blair-attacked-memoirs-signing
http://www.guardian.co.uk/world/2010/sep/05/tony-blair-book-signing-dublin

新刊で約25ユーロ。先に読み終えなくてはならない本がまだまだありますので、この日は買うのを見送りました。そうこうしているうちにペーパーバックが出るかもしれないし。北アイルランド和平の関係でいえば、A Journeyとビル・クリントン元米大統領の自叙伝"My Life"も合わせて読むといいかもしれない、と考えています。

2010年9月4日土曜日

Counter-terrorism v.s. Journalism

北アイルランドで反体制派への取材を重ねていたフリー・ジャーナリストの任意聴取が容疑者逮捕につながった要因の一つとして、物議を醸しています。容疑者の弁護側は、ジャーナリストの証言が二転三転しているとして、信憑性に疑問を呈しています。

http://www.irishtimes.com/newspaper/ireland/2010/0821/1224277317745.html

ですが、注目すべきは、聴取されたジャーナリストは捜査当局に仕事で使う携帯電話とSIMカードを押収されていることです。通話記録などの解析が目的でしょう。SIMカードは返却されたものの、携帯電話は未だに捜査当局の手元にあることから、ジャーナリスト本人はもちろん、記者の組合も非難の声を上げています。

http://www.irishtimes.com/newspaper/ireland/2010/0821/1224277317758.html

当局側は、ジャーナリストの質問にも「捜査上の秘密」を理由に詳細を語りません。北アイルランドや英国でテロ対策・政策上どのような法制度があるのかは今後調べたいと思いますが、テロ捜査と取材・報道の自由との距離感について考えさせられる記事でした。

US Air Security

http://www.guardian.co.uk/world/2010/aug/31/dutch-hold-yemenis-terrorism-suspicion
http://www.irishtimes.com/newspaper/world/2010/0901/1224277972587.html

米国の航空保安、行政に関する最近の記事から、オバマ大統領が昨年のクリスマス・テロ未遂事件後の発した"Systemic Failure"という言葉を思い出しました。空港でチェックイン後の全身スキャナーや貨物のスクリーニング、入国時の指紋採取など、議論は多いものの、テロ対策の必要性は認めます。ですが、米国の航空保安行政の組織的、構造的問題も同時に解決することが急がれるのではないでしょうか。無数の国際線が離着陸するアメリカ全土の空港におけるテロへの脆弱性は、国土安全保障上だけではなく、国際的な影響も大きいのは自明の理だからです。この際、TSA(Transportion Security Administration=運輸保安庁)とFAA(Federal Aviation Agency=連邦航空局)を統合するなどして、機能強化を図ったらどうでしょうか。TSAを傘下に収めるUSDHS(US Department of Homeland Security=国土安全保障省)のある職員は、2008年に行った筆者のアンケート取材に対し、「DHSは役所として大きすぎる。いずれ解体されるべきだ」などとコメントしてくれました。

The two articles relating to the US air security and administration remind you of the President Obama's comment "Systemic Failure" which he criticizsed intelligence community of not having shared information enough at the Chrismas day terrorism attack in 2009. Although it is still contraversial that scanning body of traveler, screening cargo and matching finger prints with terrorist list, you cannot deny the necessity of counter-terrorism measures at an airport. In additon, US government must rush to resolve the systemic and organizational problem of air security and administration simultaneously. Their vulnerability to terrorism is very crucial not only for US homeland but for interntional security, because numberless flights are flying in and out from US airports. Here is one proposal: How about integrating TSA and FAA in order to enhance their functioning and capability of counter-terrorism? An official of DHS which exercises jurisdiciton over FAA gave a comment in author's survey interview in 2008 that DHS is too huge to perform effectively and therefore DHS should be dismantled and downsized in the future.

US Sanction against North Korea

North Korea punished by US over sinking of warship
Barack Obama widens scope of US sanctions, in part to punish Pyongyang for incident in March

Reuters, Monday 30 August 2010 19.47 BST

President Barack Obama today froze the US assets of three North Korean organisations and one individual, a US official said, in part to punish Pyongyang for the sinking of a South Korean warship in March with the loss of 46 lives. Obama signed an order to widen the scope of US sanctions to allow Washington to go after the assets of North Korean organisations that trade in conventional arms and luxury products, and that counterfeit US currency. North Korea last week released US citizen Aijalon Gomes, who had been sentenced to eight years' hard labour for entering the country illegally.

米国政府が北朝鮮に新たな経済制裁を大統領令で科したというロイター電。同日の財務省発表文とFact Sheet、Stuart Levey財務次官の会見文。北朝鮮の役人が過去30年間に日本などで薬物取引にかかわっていたとサラリと触れているが、今はどうなのだろう。

http://www.ustreas.gov/press/releases/tg839.htm
http://www.ustreas.gov/press/releases/tg840.htm
http://www.ustreas.gov/press/releases/tg841.htm

同日、国務省で開かれた定例会見のやりとり。北朝鮮問題について、日本の立場から見て突っ込んだ質疑はされていない模様。

http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2010/08/146439.htm

Tony Blair's "A Journey", and Real IRA

トニー・ブレア英国元首相の回顧録"A Journey"が9月1日に発売されました。出版を記念してブレア氏のサイン会が4日午前11時にダブリン中心部にある老舗書店"Eason"で開かれるので、見に行こうと思っています。

Guardian紙では発売日当日にブレア氏のロングインタビューを掲載、併せて回顧録の内容も説明していました。おもなトピックは、イラク戦争で戦死した兵士と遺族への謝罪、対アフガニスタン政策、ブラウン前首相との確執などです。

これに対し、Irish Times紙では2日付紙面で同書を紹介しましたが、紙幅を割いていたのは当然、北アイルランド和平交渉に関する記述です。当時の交渉を英国サイドから探る絶好の資料となるかもしれず、読む価値がありそうです。また同紙は、アイルランド系英国人でブレア氏が22歳の時に亡くなった元首相の母親に関するサイド記事も掲載、目を引きました。

ブレア―クリントン政権時に和平合意が成立した北アイルランドですが、Real IRAとギャング達の暗躍は現在も活発で、広く幅を利かせているようです。

http://www.independent.ie/national-news/rira-expanding-its-crime-empire-2297954.html

爆破や射殺事件だけでなく、薬物取引、人身売買、パブの用心棒…と、Independent紙日曜版の記事がRIRAとギャングの暗躍をまとめています。懸念されるのは、シン・フェイン党側が現状を鑑みて、英国政府とアイルランド政府に反体制派共和主義者と交渉するよう求めているのに対し、両国政府は"this is not the case."と静観している(装っている?)点です。今後、事態はどう推移するのでしょうか。

2010年8月22日日曜日

Dublin gun murders

ダブリン市周辺でも射殺事件が相次いでいます。8/16のIrish Timesでは、元IRAメンバーとつながりを持っていたとされる25歳の男が、二人の子供とパートナーの前で銃撃され、ほぼ即死状態だったと報じています。今年の銃撃による死亡者は、これで18人目。被害者の男は、薬物取引や脅迫罪の前科がある上、元IRAメンバーから金をもらって複数の銃殺事件を起こしたとみられていました。

死亡者の背景をみると、組織犯罪・ギャング絡みがほとんどのようです。ダブリン市中心部は治安が良くて平和的な雰囲気なのですが、地元の人によると、今もIRAメンバーや関係者が集まるパブがあるということです。

Victim of shooting linked to two murders
By CONOR LALLY and ÉANNA Ó CAOLLAÍ, Mon, Aug 16, 2010, the Irish Times

http://www.irishtimes.com/newspaper/ireland/2010/0816/1224276887007.html

2010年8月21日土曜日

The Deployment of Irish Defense Forces

2009年中、アイルランド軍兵士の5人に1人が国際平和維持、協力活動に派兵され、その派遣人員数は過去最高とみられるとのことです。Irish Timesから。アイルランドは国連だけなく、NATOのミッションにも参加しており、派遣先はチャド、コソボ、レバノン、西サハラ、アフガニスタン。

One-fifth of Defence Forces served overseas last year
By CONOR LALLY, Wed, Aug 18, 2010, the Irish Times

ALMOST ONE in five members of the Defence Forces served on overseas missions last year, according to the joint annual report of the Defence Forces and Department of Defence.

The figure is believed to be the highest ever.

The UN’s peace enforcement mission in Chad accounted for the highest number of troop deployments, reaching 450 during each of three rotations. Nato’s mission in Kosovo played host to an Irish deployment numbering almost 220 at a time.

There were also smaller numbers of troops, usually less than 10, deployed to international missions in Lebanon, Western Sahara and Afghanistan.

The overseas deployment of Irish troops has fallen away this year because the Defence Forces is no longer in Chad and numbers in the Balkans have been scaled back.

The joint annual report also revealed a record level of activity by the Army’s bomb disposal teams, who responded to 196 call outs during 2009.

The Naval Service also experienced one of its busiest periods in recent years. Its personnel boarded 1,841 vessels last year during fishery protection patrols, detaining 15 boats.

Of the ships detained, four were Irish. There were five vessels each from the UK and France with one detention of a vessel from Spain.

The extent of the Naval Service’s activities during the security operation against protesters opposed to Shell’s Corrib gas pipeline in Co Mayo is also revealed, with five of the Navy’s ships on patrol in Broadhaven Bay for a total of 37 days.

The ships were providing support to the Garda Water Unit.

The Garda was charged with ensuring digging and pipe laying vessels working to lay an underwater pipe from the Corrib gas fields into Shell’s landfall site at Glengad, Co Mayo, were not disrupted. Work on the pipeline was stalled on safety grounds several times when protesters in kayaks paddled out to the pipelaying vessel.

防衛省の記者発表文
http://www.defence.ie/WebSite.nsf/Release+ID/58396F274327C2D0802577820042848E?OpenDocument

防衛省の2009年年次報告書
http://www.defence.ie/WebSite.nsf/fba727373c93a4f080256c53004d976e/79dbfa99ee3515e58025766a00365447/$FILE/Annual%20Report%202009%20English.pdf

DPRK propaganda

北朝鮮がYouTubeに続き、Twitterでもプロパガンダを呟き始めたという記事。8/16日にGuardianが報じた翌日、Financial Timesが追っかけたようで、Irish Timesにも転載されていました。

http://www.guardian.co.uk/technology/2010/aug/16/north-korea-twitter

記事でコメントしたのは、英国のCranfield University, Hazel Smisth教授

http://www.cranfield.ac.uk/cds/staff/smithhazel.html

Omagh-style bombing

8月上~中旬にかけての二週間、北アイルランドで爆破事件が相次いでいます。先の投稿中記事にあったように、一連の事件は1998年に北アイルランドのOmagh県で双子の胎児を妊娠していた女性を含む29人が殺害された爆破事件と手口が似ていると捜査当局は指摘しています。

北アイルランド警察のまとめなどによると、今年に入って北アイルランドとアイルランド共和国の国境周辺における治安情勢は悪化しています。2009年一年間の逮捕者が108人だったのに対し、今年は既に155人で約3倍のペース。「続IRAや真のIRAとは違う、まだよく知られていない新手の勢力。難敵だ」と危機感を表す政治家もいます。北アイルランド警察は、今年に起きた49件の爆発物事件と32件の銃撃事件は反体制派の共和党派、新手の勢力、によるものとみています。新勢力は真のIRAのメンバーらからなり、続IRAも含めて活動を共にしていると思われます。

こうした事情を鑑み、英国とアイルランド政府は非公式に協議している模様ですが、一方で北アイルランドの警察とMI5の情報共有が不十分であるとの批判が、北アイルランドの政党から出ています。捜査機関や情報機関同士の「情報共有」は、昨年のクリスマスにアメリカで起きた飛行機爆破未遂事件の例を引くまでもなく、長年指摘されていることです。もっとも、今回の北アイルランドに関する批判では、「MI5の機能を北アイルランド警察に与えよ」という極論も含まれているようです。

両者間の情報収集・共有は2006年に合意されている事項でもあり、今後、アイルランド共和国政府を含め、どのような連携捜査で犯行や意図、メンバーが明らかにされていくか注目されます。

英・Guardian
http://www.guardian.co.uk/uk/2010/aug/16/mi5-intelligence-gathering-northern-ireland
アイルランド・Irish Times
http://www.irishtimes.com/newspaper/ireland/2010/0817/1224276973845.html

加えて、一連の事件で逮捕された容疑者の自宅や別宅から銃器類が押収されていますが、容疑者は食器棚の引き出しや、柱をくりぬいた所にライフルを隠したりと映画さながらの世界のようです。

Derry man charged with offences linked to car bomb
By GEORGE JACKSON, Tue, Aug 17, 2010, the Irish Times

A 52-YEAR-OLD old car breaker from the Waterside area of Derry appeared before the local Magistrate’s Court yesterday charged with offences linked to the dissident republican 200lb car bomb explosion outside the city’s PSNI headquarters on August 3rd.

Thomas Christopher Nash, Iveagh Park, Prehen, is charged with possessing a .22 rifle and 140 rounds of ammunition.

He is also charged with possessing an imitation AK47 assault rifle and an imitation P228 pistol as well as possessing a CS spray canister without the authority of the secretary of state.

All of the offences, which the defendant denies, are alleged to have occurred on August 9th, six days after the bomb explosion in Derry.

Last week Philip O’Donnell (42) from Baldrick Crescent in the city was remanded in custody when he appeared in court charged with carrying out the bomb attack.

A detective chief inspector from the PSNI’s major investigation team told District Judge Barney McElholm that Mr Nash was arrested in relation to the bombing.

He said police officers searched the defendant’s marital home as well as a second address where he lived.

“In the marital address police found the butt of an AK47 assault rifle hidden in the drawer of a bedroom cupboard.

At the second address where he lived officers found in a garage a .22 rifle, ammunition, a silencer, a sighting scope, three balaclavas and a pair of gloves.

“We also searched a pillar to the rear of the house. The pillar had a lid cemented on to it and when the lid was removed officers found a replica AK47 assault rifle from which the butt had been removed”, he said.

The defendant was remanded in custody and will appear in court again for a video remand hearing on September 9th.

2010年8月18日水曜日

Countering Counterfeit

De La Rue chief James Hussey resigns over banknote paper problems

By Zoe Wood and Graeme Wearden guardian.co.uk, Thursday 12 August 2010
 
世界150カ国以上に紙幣やトラベラーズ・チェック類を販売する"De La Rue"社の社長が、18機ある製造機械のうち、1機の不具合による製品(紙幣類)劣化の責任を取って先日、辞任しました。

http://www.guardian.co.uk/business/2010/aug/12/de-la-rue-chief-quits

De La Rue社は、問題の発覚で紙幣類の発送が遅れたと説明しているようですが、不具合や劣化の詳細を明らかにしていません。記事には、「(対象は)英ポンドや米ドル、ユーロの類ではない」とだけ書かれています。株価は一日で10%下落しました。

会社にとってみれば隔靴掻痒でしょう。説明責任を果たそうと、原因や不具合、対象紙幣類を詳細に説明すれば、偽造犯を利することになり、国家的、国際問題を引き起こしかねません。事件取材で多少の経験があるのですが、どこの国でも通貨偽造は国家の経済を混乱に陥れる重要犯罪とみなされるているからです。その点、De La Rue社の歯切れの悪さも理解できなくもありません。

ですが、別の記者はこんな皮肉を利かしたコラムも書いてます。

http://www.guardian.co.uk/business/2010/aug/12/de-la-rue-banknotes-viewpoint

余談ですが、2005年に北朝鮮が大量に偽造した米ドル紙幣をマカオの銀行に預金し、money laundering(資金洗浄)していた"Banco Delta Asia"事件が発覚、六カ国協議が中断されるなど外交問題にも発展しました。元米政府高官によると、この事件の端緒は2001年の9/11テロ直後のこと。国を挙げて同時多発テロの捜査や情報収集を進める中、偽造通貨事件を所管するSecret Serviceが偽ドル札を発見し、北朝鮮の国家犯罪であることを突き止めたということです。

As to a serious counterfeit crime, "Banco Delta Asia", a former US official explained in author's interview that  US Secret Service found counterfeited US dollar "Super-Note" firstly just after the September 11th terrorist attack and this was the tipping-off of Banco Delta Asia. The investigation was going on, then US authorities revealed the note was created by DPRK and verified North Korea's money laundering in Macau.

最後に、こういう会社があったのかという興味から、De La Rue社のHP

http://www.delarue.com/Home/

Sancitons

Iran sanctions strengthen Ahmadinejad regime – Karroubi
Exclusive: Former presidential candidate Mehdi Karroubi tells Guardian US and British policy is a gift to Ahmadinejad regime

By Saeed Kamali Dehghan guardian.co.uk, Wednesday 11 August 2010

イランの反体制派指導者が、西側各国によるイランへの経済制裁はアハマディネジャド政権を強化するだけで無意味だ、との考えをThe Guardian紙に語っています。「キューバや北朝鮮を見よ」とも。

http://www.guardian.co.uk/world/2010/aug/11/iran-elections-mehdi-karroubi-interview

米国留学中、ある講義で「我々がいくらイランへ経済制裁を科しても、日本などがイランから原油を買いまくるから制裁効果が薄れる」と講師にけしかけられました。後日、米国政府の知人にそれを話すと、知人は「何を言ってるんだ。アメリカだってベネズエラから原油を輸入しまくってるじゃないか」と半ば呆れ顔で憤ってくれました。ですが、当時の私は反論できず、今でも悔しさが残る経験です。

Karroubi氏の発言は、国内における自分たちへの圧政や苦境の裏返しと言えます。それでも「キューバや北朝鮮は?」と問われれば、返す言葉がなかなか見つかりません。

MI5 vs IRA

Cambridge UniversityのChristopher Andrew教授の著書"The Defence of the Realm~the Authorized History of MI5"を読み進めています。英国MI5の公式史書で、索引や脚注、写真などを含めて1000ページ以上あります。アイルランド関係で、興味深い一説を見つけました。

第一次世界大戦中の1916年春、大英帝国の支配下にあったアイルランドでは、一部の愛国者達が一方的な独立を宣言し英国に戦争を挑みます。「イースター蜂起」と呼ばれるのですが、この蜂起が後々の独立への第一歩となったため、アイルランド国民はマイケル・コリンズをはじめ、この時の志士たちを英雄視しています。一方で蜂起が、後に英国と結ぶ合意内容をめぐる内戦やIRAへの発展の元になったことも、反面の史実です。

Andrew教授の本によると、英国は第一次大戦で交戦中だったドイツ側への傍受から、蜂起の計画を事前に察知していたというのです。ドイツがアイルランドの独立派を陰で支援しようとしていたからでした。英国はアイルランド側へ思いとどまらせようともしましたが、それでも蜂起は起こり、英国軍によって数日で鎮圧され、首謀者ら16人が処刑される結末を迎えます。

同書の後段、1970-80年代のテロ対策などの章でIRA関係にページを割いていますので、これから先が楽しみです。

Andrew教授については、アメリカの情報機関出身の先生達も、"Queen's Intelligence"とか"Queen's Eye"などと表現して敬意を示していました。

http://www.hist.cam.ac.uk/academic_staff/further_details/andrew.html

私が知ったのは、今から約十年前、旧ソ連から英国へ亡命した元KGB職員の証言をまとめた、"The Sword and the Shield: The Mitrokhin Archive and the Secret History of the KGB"が出版された頃です。テレビのCBSドキュメントでピーター・バラカンが紹介するのを見て、アマゾンがないその時代、新宿の紀伊国屋書店で急いで買いましたが、あまりの分厚さと難しさに何度も挫折しました。

同書は、米・Georgetown Universityの講義でも、参考図書の一つとして挙げられていました。米国関係で挙げれば、"For the President's Eyes Only"もAndrew教授の著作で、広く読まれている重要図書です。

"The Sword and the Shield"とは、KGBのエンブレムのデザインから取られたタイトルと思われます。同書は私が歴史の裏側に強い関心を持つきっかけとなった一冊だったことから、このブログ名に借用させてもらいました。

2010年8月11日水曜日

The New NGA Chief

日本の防衛省や外務省の女性官僚の間でも近年、Intelligenceへの関心は高いと聞きます。AP電にあるような、こういう人事異動一つとっても、米国とは次元が違いすぎるのでしょう。このニュースはアイルランドや英国でも報じられていました。

First woman to head major US intelligence agency

By KIMBERLY DOZIER, The Associated Press, Monday, August 9, 2010; 2:38 PM

FORT BELVOIR, Va. -- Letitia A. Long became the first woman director of a major U.S. intelligence agency Monday, taking her post as chief of the National Geospatial-Intelligence Agency at a ceremony at the agency's half-built, high-tech campus in Springfield, Va.

Long saluted what the relatively new agency has accomplished, from aiding troops on the battlefield, to helping draw together intelligence from across the national security spectrum.

"I have never seen an agency as young as the NGA do so much in so little time," she said of the organization, which was established in 1996.

She spoke before several hundred VIPs from the intelligence and special ops community on the roof of a parking garage next to her future offices. The "Jetsons"-style rounded wedge of buildings is rising from a vast construction site at Fort Belvoir. The NGA's staff, now spread among several sites across the Washington metropolitan area, is slated to relocate there by fall 2011.

Long's 32-year career has led to a series of senior management positions: deputy director of Naval Intelligence, deputy undersecretary of defense for intelligence and, most recently, second in command at the Defense Intelligence Agency.

Long's old boss and mentor, James R. Clapper, newly confirmed as director of national intelligence, noted her 32 years of service, with 16 of them often working in agencies under his purview. Clapper warned her that as soon as he is sworn in as DNI, his "meddling" would continue in her next mission.

Long thanked him for "taking a chance on a young executive, way back when," and said she welcomed the meddling to come.
Long represents the vanguard of women in the intelligence community.

Women represent 38 percent of total intelligence work force, according to Wendy Morigi, DNI spokeswoman. In six of the most prominent agencies, 27 percent of senior intelligence positions are held by women.

A spokesperson for the NGA, Susan H. Meisner, had identified Long as the first woman to lead one of the nation's 16 intelligence agencies, but later conceded that women have led smaller intelligence agencies such as the State Department's intelligence arm.

Long has taken over one of the "top computer geek shops" in the national security world. The NGA synthesizes satellite imagery, using everything from the number of electric lines a city has to the density of the soil, to create three-dimensional, interactive maps of every spot on the planet. They're used by everyone from invading troops gauging whether a country's roads or deserts can handle tank tracks, to oil spill cleanup crews trying to decide where to deploy resources.

Long has the science-and-technology credentials to do it, with a degree in electrical engineering from Virginia Tech, and a masters in mechanical engineering from the Catholic University of America. Together with those high powered jobs, Annapolis-born Long and her husband have raised three daughters.

Rep. Anna Eshoo, D-Calif., said Long's "experience and position make her an important role model for all the women in the intelligence community." Eshoo is a member of the House intelligence committee and a longtime proponent of women in top intelligence roles.

Some of Long's new women staffers at the NGA say her example will surely change how the largely male-dominated work force sees them. However, women in their thirties and forties at these agencies say the climb they face is small compared to Long's fight, against an older generation that hadn't yet witnessed women in combat or a woman come so close to capturing the nomination for U.S. president.

Yet some of those women out in the national security trenches say the fight's far from over.

Intelligence executive Carrie Bachner, a former Air Force officer, worked as the legislative adviser to Charles Allen when he was the Department of Homeland Security's top intelligence official.

That meant she advised him daily on how to deal with the 86 congressional committees responsible for DHS oversight.

Still Bachner says, when she'd walk into a room of officials with Allen, "they'd automatically ignore me, assuming I was the executive assistant....until they'd realize, 'Oh, wow, she's the person we're supposed to talk to.'"

Bachner says she still experiences that, as president of her own intelligence consulting firm, Mission Concepts Inc. "They are taken aback when I introduce myself," she said. "They're looking for the real president, and well, that's me."

Northern Ireland

北アイルランドは今年、英国本国から司法権を移譲されたと記憶しています。それを狙ったかのように、というのは言い過ぎかもしれませんが、治安情勢はよくないようです。以下はThe Guardianから。

Northern Ireland's chief constable warns of dissident republican threat
Police chief says 'absolutely reckless' groups are capable of another Omagh bomb-style massacre

by Henry McDonald, Ireland correspondent guardian.co.uk, Monday 9 August 2010

Northern Ireland's chief constable warned today that dissident republicans are "absolutely reckless" and in danger of causing another Omagh bomb-style massacre.

Matt Baggott described the threat from the Real IRA, Oghlaigh na hEireann and the Continuity IRA as severe as ever.

"These are the same people or the same mindset that ultimately led to the Omagh tragedy all those years ago," the head of the Police Service of Northern Ireland said during a visit to Derry today.

The chief constable held talks with traders and residents caught up in last week's bomb attack on Strand Road police station.

"They offer no solution to the future except going back to the past. They are absolutely reckless," he said of the dissident groups.

Baggott said potential victims who escaped over the last seven days included a policewoman and her baby, a kebab shop owner and elderly people forced out of their care home in Derry due to the bombing.

It also emerged today that dissident republicans almost killed a toddler during an attempted murder bid on her mother, a Catholic police officer in Co Down.

The child was strapped into a seat in the back of a car when her mother started the vehicle in Kilkeel on Saturday. An explosive device fixed underneath the vehicle then fell off. Security sources told the Guardian today that the dissident bombmakers were having problems with magnets used to attach their devices to cars.

"Once they get that right it is only a matter of time before they kill someone," one senior detective said.

The murder bid has sparked further controversy after the officer's uncle, a former Sinn Féin councillor, refused to condemn those behind the attack. Martin Connolly, an independent republican councillor in Newry and Mourne, said he did not want to engage "in the politics of condemnation" – a standard line Sinn Féin representatives used when the IRA was still involved in violence during the Troubles.

Local Democratic Unionist party assembly member Jim Wells said that in the light of the Kilkeel booby trap attack, it was now inaccurate to dismiss the dissidents as just a gang made up of a few disgruntled republicans.

"We've seen a week with dissident attacks in Londonderry, Bangor and now Kilkeel; the message is very clear – the dissident threat is throughout Northern Ireland. Those who are saying it's one or two isolated pockets are totally wrong," he said.